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令和3年5月27日
森林総合研究所林木育種センターは、自然災害による被害や加齢等で樹勢が衰えた天然記念物や巨樹・名木などで保存する価値がある樹木を対象に、これらと全く同じ遺伝子をもつクローン苗を増殖し、後継樹として現地に里帰りさせるサービス「林木遺伝子銀行110番」を行っています。このサービスにより令和3年2月25日に茨城県龍ケ崎市の「龍ケ崎のシダレザクラ」を里帰りさせましたので、増殖の経緯や里帰りの様子をご紹介します。
「龍ケ崎のシダレザクラ」は、金剛山観仏寺般若院の本堂裏手にある巨樹で、お花見の季節には多くの人が訪れています。平成26年11月に龍ケ崎市からの要請を受けて、翌年3月につぎ木を行いましたが成功したのは2本だけでした。そこで同年の7月に再度穂木を採り、さし木で増殖し、さらに平成29年に再増殖を行うことで6本の苗木を作ることに成功しました。このうちさし木で増殖した2本が里帰りしました。
里帰り場所は、原木が今も健在であることから龍ケ崎市の登録有形文化財「旧諸岡家住宅煉瓦及び塀」の前にある門塀前広場に決まりました。
里帰りの際には、植樹式が行われ、これまで「旧諸岡家住宅煉瓦及び塀」の保存活動に努めてこられた赤レンガ保存実行委員会の方々と龍ケ崎市長ほか市職員が出席しました。
式では、中山市長のご挨拶に続いて赤レンガ保存実行委員会の久保田委員長から謝辞が述べられ、わたしたちは、後継樹の里帰りが原木の所有者だけではなく地域の方々にも喜ばれていることを実感しました。また、テレビ報道などで式の様子が県外にも報道されたことから、「林木遺伝子銀行110番」への興味や関心が広くもたれたのではと思いました。
今回里帰りした後継樹が「龍ケ崎のシダレザクラ」に係る皆さんの期待に応えて、元気に育つことを願っています。
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龍ケ崎のシダレザクラ 写真提供:龍ケ崎市 |
植樹の様子 (右から、龍ケ崎市長、般若院住職、林木育種センター所長) |
(遺伝資源部 探索収集課)
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