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令和3年10月27日
林木育種センターでは、乾燥地・半乾燥地が国土の約8割を占め、薪炭材の利用や農地転用により森林資源の荒廃が進むケニアにおいて、森林面積の回復に資するため国際協力機構(JICA)が実施している「持続的森林管理のための能力開発プロジェクト(CADEP)」に参画し、成長と材質が優れ家具材や内装材としての利用が期待されているメリア(Melia volkensii)の耐乾燥性育種に取り組んでいます。すでに第二世代の選抜を行い次の段階へと進もうとしていますが、第一世代のつぎ木クローンにより造成された採種園では一部の採種木で台負け(写真1)による倒木が発生しており、今後第二世代採種園の造成や精英樹の系統保存のため、さし木等の根から一体となったクローン増殖技術の開発が求められています。
さし木増殖の試験は、2012年からケニアにおいて培土や温度、湿度等をかえて実施されてきましたが、これまでに数例の成功例があるだけで技術の実用化には至っていません。昨年2月からは、新型コロナウィルスの蔓延により当センターの研究者がケニアへ渡航できず、現地での試験は中断しています。このため、代替措置として西表熱帯林育種技術園において根ざし増殖(林木育種の現場から令和2年7月29日参照)に取り組むとともに、センターにおいてはさし木増殖に取り組んでいます。
さし木増殖を行う際、通常は成長の旺盛な枝の先端部を使用しますが、当センターに保管されていた苗木は限られていることから、苗木を切断しそのすべてをさし穂として利用しました。令和2年8月から培土などの条件(写真2、3)を変え6回実施した結果、約1割が発根し、苗木の基部から採取したさし穂からも発根(写真4)したことから、すべての部位で発根する可能性のあることがわかりました。
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写真1 台負け(台木の成長が上部より劣る) | 写真2 鹿沼土によるさし木試験 |
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写真3 ココピートによるさし木試験 | 写真4 発根の様子(最右側が苗木の基部) |
今後も発根のための条件を明らかにするためにセンターにおいてさし木増殖試験に取り組むとともに、早期にケニアに渡航し現地での試験を再開したいと考えています。
(指導普及・海外協力部 海外協力課)
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