ここから本文です。
令和3年11月10日
林木育種センターでは、有用樹種の貴重な遺伝資源を環境変動下で適切に保存していく技術を開発するため、アカマツを対象に、日本各地のアカマツ林から採取した種子由来の苗木を用いた試験地(産地試験地)を各地に設定し、調査・研究を進めています。今まで九州から東北にかけて林木育種センター遺伝資源部や各地の育種場が中心となって産地試験地を造成してきていますが、北海道では、道南部の函館周辺に植栽された並木等はあるもののアカマツが天然分布していないことから、寒さの厳しい北海道の苗畑で育苗や植栽が可能かどうかあらかじめ検討する必要がありました。北海道育種場では、数年間の試行により育苗等に目処が立ったことから、本年度から本格的に産地試験地用の育苗を開始しました。
2021年5月中旬に我が国のアカマツの天然分布をほぼ網羅する青森県から宮崎県までの11産地55系統の種子を北海道育種場内の苗畑に産地・系統別に播種しました。その結果、6月初旬から発芽が始まり、多くの種子は6月中に発芽しましたが、中には8月下旬まで連続的に発芽する系統もみられ、全ての発芽が終了したのは9月上旬でした。発芽した苗木たちは、これから北海道の苗畑で初めての冬を迎えることになります。今後、生存率や成長性、開芽時期等に産地・系統間に違いが出ることが予想されます。アカマツにおいて、北海道の環境に適した(あるいは適さない)産地・系統はどれか、原産地の環境と植栽地での適応性との間に関連性があるかどうか等を明らかにしていく予定です。さらに、前述のとおり、北海道はアカマツの天然分布以北であることから、青森県まで達しているマツノザイセンチュウによるマツ枯れのリスクから逃れるという観点から、どの産地(環境)のアカマツ遺伝資源が北海道に人為的に逃避させること(「アシステッドマイグレーション」(Assisted Migration)と呼ばれています)が可能かを明らかにすることも北海道の広域産地試験地の重要な任務と考えています。
(北海道育種場)
![]() |
![]() |
産地・系統別の播種 | 様々な大きさの苗木 |
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Acrobat Readerが必要です。Adobe Acrobat Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。
お問い合わせ
Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.