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令和3年11月24日
森林総合研究所林木育種センター九州育種場は、加齢等で樹勢が衰えた天然記念物や巨樹・名木などで保存する価値がある樹木を対象に、母樹と同一遺伝子をもつクローン苗を増殖し、後継樹として現地に里帰りさせるサービス「林木遺伝子銀行110番」を行っています。このサービスにより、令和3年10月19日に八代市指定天然記念物「薬師堂の銀もくせい」の後継樹を里帰りさせましたので、増殖の経緯や里帰りの様子をご紹介します。
熊本県八代市坂本町の「薬師堂の銀もくせい」は樹齢およそ510年と推定され、幹周り約3.3m、高さ約15.6mと大きく、この地に薬師堂が建立された時に植えられたと伝わる、地域で親しまれる市指定天然記念物でした。
その銀もくせいが突風により倒木してしまったのは平成30年1月になりますが、それ以前に老木化を心配した住民の要望を受け、平成26年2月に八代市教育委員会より当サービスの利用申請を受けていました。
利用申請を受けてすぐに採穂とさし木増殖を行い、4本の後継樹を育成することができました。そのうちの2本の後継樹について、令和3年7月にオープンした「八代市民俗伝統芸能伝承館」で譲渡式が開催され、関係者らの拍手で迎えられ里帰りしました。
里帰りの様子をテレビや新聞で取り上げていただいたことや、前述した突風による倒木のことを考えると、とても意義があるものであったと感じています。
里帰りした2本の後継樹のうち1本は、「八代市民俗伝統芸能伝承館」で大切に育て、もう1本は、「薬師堂の銀もくせい」があった八代市坂本町に令和2年大水害の復興のシンボルとして里帰りをさせる検討がなされているとのことです。
2本の後継樹が地域のシンボルツリーとして、大きく育っていくことを心から願っています。
(九州育種場)
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薬師堂の銀もくせい |
譲渡式の様子 (右から、八代市役所経済文化交流部次長、九州育種場長) |
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