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令和5年6月14日
森林総合研究所森林バイオ研究センターでは、組織培養技術を使って針葉樹の苗を大量増殖する技術を開発しています。組織培養とは、ガラス瓶等の容器内で組織や細胞に適切な養分を与えて無菌的に培養する技術のことです。これまでにスギやヒノキ、カラマツの未熟な種子から細胞を増殖させ、植物体に分化させてクローン苗を作製することが可能となっています。(詳細は「林木育種の現場から」2021年8月25日号「細胞から無限に木を増やすー針葉樹の組織培養技術ー」をご参照ください)。細胞はほぼ無限に増殖させることができるため、その増殖させた細胞から大量に植物体を得ることができ、効率的なクローン苗生産方法として組織培養は有効です。また、個々の種子それぞれから作製した細胞間で個体の性質は異なると考えられます。そのため、様々な家系に由来する種子から増殖した細胞を複数種用意しておけば、それだけバリエーションに富んだ系統から取捨選択してクローン苗を生産することができるのです。当センターではスギの精英樹やエリートツリーを人工交配などして得られた種子に由来する細胞の取得を継続して行っており、これまでに200系統以上の細胞を得ることに成功しています。細胞は液体窒素下で長期間凍結保存することが可能となっているため(写真1)、これらの細胞系統を生物資源として保存し、必要に応じて細胞を解凍・利用することができるシステムを構築しています。
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| 写真1 凍結保存しているスギ培養細胞 |
当センタ―で保存している細胞は種子に由来する細胞と述べました。したがって両親の性質をある程度受け継いでいることが予想されますが、実際に野外で栽培し、生物資源として保存している個々の細胞系統に由来する植物体つまり立木状態での成長、材質、花粉生産性等の形質を評価しておくことが必要です。そこで、保存しているスギ細胞系統の中から個体再生しやすい細胞約50系統を選び出し、それぞれから約十数本、合計約650本のクローン苗を作製して令和5年4月末に苗畑に植付けを行いました(写真2、3)。形質の評価までには長い道のりですが、個々の細胞系統に由来する個体の性質が明らかとなれば、利用したい系統を選んで細胞からクローン苗を大量生産したり、ゲノム編集技術による新たな性質を付与したりすることが可能になります(詳細は農林水産技術会議ホームページ「ゲノム編集(外部サイトへリンク)」、および「国内における研究開発事例を紹介します!(国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 森林バイオ研究センター編)(外部サイトへリンク)」をご参照ください)。
(森林バイオ研究センター)
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| 写真2 植付けの様子 | 写真3 植付け後の様子 |
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