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令和5年10月19日
林木育種センターではマツ材線虫病被害への対策として、九州から東北の各育種基本区においてマツノザイセンチュウ抵抗性クロマツ品種の開発を進めるとともに、効果的な普及や更なる遺伝的改良のため、開発された抵抗性品種の抵抗性レベル等の特性評価を進めています。クロマツの種苗配布区域は大きく太平洋側と日本海側の2つの種苗配布区域に区分されているため、育種基本区横断的に品種を利用することが可能な一方で、これまで主に抵抗性クロマツの特性評価は各育種基本区(育種場)において進められてきました。しかし、地球温暖化等への対応策も含めて今後より強い抵抗性クロマツを開発していくためには、より広域な枠組みで抵抗性レベルの系統間差やその遺伝的なメカニズム等を把握していくことが必要と考えられます。このような背景から、林木育種センターおよび各育種場の抵抗性マツ育種の担当者グループでは、全国で開発された抵抗性クロマツの苗木に対して同一の環境でマツノザイセンチュウの接種試験を行い、育種基本区横断的な抵抗性評価を進めています。
令和5年度は、九州育種場内で生育させた全国の抵抗性クロマツと精英樹クロマツ(対照用)の3年生つぎ木苗、計1,800本を対象として、7月25日(火曜日)に接種試験を実施しました。
まず、接種前後での系統毎の遺伝子発現量の変化を評価するため、接種前の苗木の頂端部から針葉を2~3本採取し、すばやく液体窒素で凍結させて冷凍保存しました(この作業は接種後も定期的に九州育種場の担当者が実施しています)。
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| 針葉サンプリング | |
その後、培養したマツノザイセンチュウの人工接種作業を実施しました(線虫接種の詳細な手順等については令和3年9月22日号で紹介されていますのでご参照下さい。(http://www.ffpri.go.jp/ftbc/business/gyoumusyoukai/genba/r3nendo/r3_0922.html)
線虫接種は、抵抗性レベルの違いが明確に評価できるよう、マツノザイセンチュウの活動が活発な真夏の暑い時期の晴天日の日中の時間帯に行います。この日も正午過ぎまで快晴で蒸し暑い日でした。今回は全国の線虫接種の担当者グループということもあり、手早く夕立前に作業を終えることができました。
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| 線虫接種 | ||
接種後1ヵ月半あまりが経過した9月中旬時点で、系統により枯損が進行しているもの、あるいは無被害のものが見られており、系統間差が顕われ始めています。今後、11月中に九州育種場の担当者がすべての接種苗木を対象として最終的な健全・生存状況の調査を実施する予定です。得られる系統毎の抵抗性形質情報に加えて、針葉サンプルから遺伝子発現情報等も得ることで、抵抗性レベルの系統間差やその遺伝的メカニズムを明らかにしていく予定です。以上の知見から、今後の我が国の健全なマツ林を造成するための、より強い抵抗性クロマツ品種の開発に向けた育種戦略を林木育種センター一丸となって検討していきます。
(九州育種場)
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| 接種後の苗畑の様子(9月15日時点) |
抵抗性クロマツの育種基本区横断的な抵抗性評価の取り組み(PDF:1,211KB)
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