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令和6年1月24日
西表熱帯林育種技術園は、沖縄本島から約460km南西に離れた西表島にあり、平成8年に設置されて以来、亜熱帯の環境を活用して熱帯・亜熱帯の樹種を対象に調査研究、技術開発を実施してきました。近年は、防風・防潮林として有用な樹種であるテリハボク(オトギリソウ科テリハボク属 Clophyllum inophyllum L.)やフクギ(フクギ科フクギ属 Garcinia subelliptica Merr.)の調査・収集・増殖に取り組んでいます。これまでに、テリハボクの成長量調査(2022年8月)について、フクギのさし木およびつぎ木による増殖技術(2021年8月)についてご紹介しましたが、本稿ではその後の進捗についてご紹介させていただきます。
1.テリハボクの着花等の調査について
テリハボクは実生で苗木を普及するため、着花の有無や多寡などの着花状況は選抜を実施する上で有用な情報です。また、種子は化粧品などにも利用されているため、着果の情報も重要になります。しかし、テリハボクは成長すると樹高10m以上になり、個体によっては地上から花を目視することが難しい場合もあります。そこで、目視で行っていた着花状況調査に令和5年から無人航空機を導入して上空から着花・着果状況の確認を実施しています(写真1)。現在はより正確な情報を得ることが出来るよう技術開発を進めています。
また、前回紹介しました成長量調査(写真2)ですが、10年以上にわたり実施した結果、系統間で成長量に差があることが分かりました。
今後は、成長量などの調査を継続して行うとともに、成長量と着花状況の両面から優良木を選抜してつぎ木増殖を実施する予定です。
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| 写真1:無人航空機で空から見たテリハボクの着花状況 | 写真2:テリハボクの成長量調査の様子 |
2.フクギの収集・増殖について
フクギは、沖縄では古くから防風・防潮のために街路樹や屋敷林として広く植栽されており、西表島でもあちらこちらで見ることが出来ます(写真3)。前回紹介しましたとおりフクギのつぎ木・さし木増殖について知見を得たことから、地域の方々のご協力のもと島内の民家などに植えられたフクギの収集・増殖を令和3年に開始しました。雄株を中心に令和3年は古見地区や大原地区などで5個体、令和4年は干立地区で7個体からつぎ穂の採取とつぎ木による増殖を行いました(写真4)。
今後は引き続き地域の方々や関係機関のご協力のもと島内外のフクギの探査、収集および増殖を進めるとともに、優良木の選抜のために試験林を造成する予定です。
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| 写真3:生垣として道沿いに植えられているフクギ | 写真4:つぎ木増殖したフクギ |
3.台木の育成
つぎ木増殖を実施するためには台木が不可欠です。そこで、試験林などからテリハボクとフクギの種を採取し、試験的に台木の育成を行いました(写真5)。令和2年に播種を行い、テリハボクは令和5年にはどの個体も十分な大きさに育ったため台木として活用することができました。フクギは個体間で成長量のばらつきが大きくあまり成長していない個体もあったため、引き続き育成に努めています(写真6)。
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| 写真5:つぎ木に利用したテリハボクの様子 | 写真6:成長に大きく差が出たフクギの実生苗 |
最後になりましたが、テリハボクやフクギのつぎ穂収集にあたり多大なご理解ご協力をいただきました皆様にお礼申し上げます。
(指導普及・海外協力部 西表熱帯林育種技術園)
続・西表熱帯林育種技術園での業務について(PDF:1,034KB)
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