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更新日:2025年2月28日

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原種園1)整備の取り組み[ヒノキ低台仕立]

令和7年2月28日

林木育種センター(日立市)では、スギ・ヒノキ・カラマツなど主要な林業樹種の品種改良を行っています。主な改良目標は、成長が良く、材が丈夫で、幹が通直な樹木へ改良することですが、近年、スギやヒノキでは花粉が少ないことも重要な改良形質となっています。

このように開発された優良品種が、実際の林業の現場へ届くまでの流れについて簡単に説明します。まず、林木育種センターではさし木やつぎ木によって優良品種のクローン苗木(原種苗木)を殖やします。これらの原種苗木は、種子や穂木を生産する元(原種)として、都道府県等へ配布され、複数の優良品種で構成される採種園や採穂園が造成されます。そこから採れた種子や穂木が、さらに苗木生産事業者に配布され、山行き苗木が生産されることにより、山へ植林(造林者)されます。

原種苗木には、さし木やつぎ木によって殖やしたクローン苗木が使われます。優良品種が開発されると、多くの機関から配布要望が出されるため、大量にクローン苗木を生産する必要があります。そのため、林木育種センターではさし木やつぎ木に適した枝(=穂木)を毎年安定して採取することができるよう、穂木の採取に適した樹形に整えた(仕立てた)木(採穂木)を集めて植栽した樹木園(原種園1))を作ります。

採穂木の樹形の仕立て方は樹種によって異なります。スギでは光条件が良好であれば、比較的容易に萌芽がみられ、容易に穂木を生産することができますが、ヒノキでは、スギとは樹種としての特性が異なり、スギのような強い萌芽性がみられません。このため、樹形を仕立てるための剪定が遅れ、陽光が樹冠内部まで届かず暗くなると、そのような部位の葉は枯れてしまい、そのような部位からは新たな葉が茂らなくなります。このようなヒノキの樹種特性のため、ヒノキの樹形を仕立てるのは難易度の高い作業となっています。

林木育種センターでは、これまでの採穂木仕立(高台仕立て)は必要な穂木を大量に採取出来るよう、150cm以上で断幹していましたが、種苗配布用の原種生産量の確保を優先させるため枝の剪定を見送り、当初見込んだ枝の長さを超えてしまい理想的な採穂木としての樹形を整えることが難しい状況のものもでてきました。

こうした中、関西育種場ではヒノキの原種園として、これまでの仕立て方(中台仕立て2))とは異なる、低台仕立てを試行し、植栽後2〜3年から穂木の採取が可能であることを明らかにしました3)。このような新たな方法を参考にしながら、当センターでも新しい優良品種の普及を促進するため、早期の穂木採取が見込まれる低台仕立てによる原種園整備に昨年5月から取り組みを始めました。現在のところ、植栽した苗木は順調に生育しており、令和7年2月頃から樹形を仕立てる作業を進める予定です。作業が順調に進めば、令和9年頃から穂木生産が可能になると見込んでいます。

 

1)原種園:さし木やつぎ木でクローン苗を作るための枝(=穂木)を育成するための樹木園。将来、木の幹になるしっかりとした芯(伸長する芽)がある枝を大量に発生させるための剪定を行います。

2)中台仕立て:ここでは採穂母樹の台木を100cm程度で断幹する仕立て方をいう。また、50cm以下を低台仕立て、150cm以上を高台仕立てと定義しています。

3)関西育種場だより No.99 2022.11 ヒノキの低台式採穂園:穂木生産迅速化に向けて

 

低台に仕立てる原種園
低台に仕立てる原種園 低台に仕立てる原種園
低台に仕立てる原種園令和6年5月21日植栽(令和6年5月24日撮影)

 

今後の予定

樹高1.2m程度に達したものから順次、地上高50cmで断幹し、枝の育成を図ります。

また、穂木として利用できる枝は採取して、配布するつぎ木苗の生産を行います。

 

高台仕立ての原種園 高台仕立ての原種園

断幹部位(黄色の線)とその後の剪定の遅れによる樹冠内部の枝と

葉の枯れた様子

高台仕立ての原種園  

 

(原種課)

原種園1)整備の取り組み[ヒノキ低台仕立](PDF:732KB)

 

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所属課室:森林総合研究所林木育種センター育種企画課 

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