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更新日:2025年2月28日
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各地の山で選抜された精英樹(第1世代)の中でも、特に優れたものを交配した苗木の中から選ばれた、第2世代以降の精英樹の総称です。
主に成長性が改良されており、特に初期成長の早さが特徴です。材質や通直性にも優れています。植栽本数や下刈り回数等、造林初期投資の削減や、伐期の短縮が期待されます。
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第1世代精英樹の次代の苗木(子供)を植栽して、子供の成績から各精英樹の親としての遺伝的な良し悪しを検定します(次代検定)。次代検定の結果、特性が上位だった第1世代精英樹を親として人工交配等を行いF1個体を作出します。F1個体を試験林(育種集団林)に植栽し、5年または10年おきに樹高や胸高直径などを調査し、特性データを集積します。エリートツリーの選抜基準(表)にもとづき、F1個体群の中から特性の優れた個体をエリートツリーとして開発します。
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表.スギ、ヒノキにおけるエリートツリーの選抜基準 |
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エリートツリーは初期成長に優れた特性を示し、従来の苗を植栽する場合と比べて、下刈期間を1〜2年程度短縮できる可能性があります。また、得られる木材の質(剛性)は、従来の系統と同等以上となります。
九州育種基本区の事例 |
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植栽後4年のエリートツリー「スギ九育2-203」(左6m) |
と従来のスギ品種で少花粉スギの「県唐津8号」(右3m) |
エリートツリーと従来の系統の初期成長(スギ) | |
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※関東地方(左グラフ):〔太いライン〕関東育種基本区の3か所の試験地におけるエリートツリー苗木上位10系統、〔細いライン〕精英樹全系統の平均値。 ※九州地方(右グラフ):〔太いライン〕九州育種基本区の大分県玖珠町の試験地におけるエリートツリー苗木上位10系統、〔細いライン〕従来の系統3系統の平均値。 ※今後データの充実とともに、グラフを改良していく予定。 |
エリートツリーと従来の系統の剛性(スギ) | |
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※九州育種基本区において、植栽後20〜30年生で測定したデータに基づき算出。 ※剛性は、立木状態で材中の測定音速から算出したヤング率。 |
遺伝的な多様性に配慮しつつ、育種基本区ごとに地域ニーズの高い樹種を中心に、エリートツリーの開発を進めています。エリートツリーは、令和5年度末までに、スギ686系統、ヒノキ315系統、カラマツ140系統、トドマツ50系統、グイマツ4系統の合計1,195系統をエリートツリーとして開発しています。
エリートツリー一覧表(令和5年度末現在)(PDF:620KB)
林木育種センターでは、エリートツリーのうち特定母樹の指定基準を満たす系統については特定母樹に申請しています。
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