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更新日:2023年12月19日

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このページに登場する昆虫

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オオトラカミキリ 

Xylotrechus villioni (VILLARD)

  • 分類 甲虫目 カミキリムシ科 CERAMBYCIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約50mm 成虫:25~30mm
  • 加害樹種 トドマツ
  • 分布 北海道,本州
  • 被害 幼虫が生立木の枝,幹の樹皮下を食害し,材部に穿孔する。樹幹のじん皮部を一巻きするように食害するので,わずか1~2頭の加害でもトドマツは枯死する。また,加害部のまきこみによって枯死をまぬがれた立木も,その部分で樹幹が変形し,材の利用価値を減ずるのみならず,風による中折れの原因にもなる。
  • 生活史 詳細は不明。成虫の出現は6月下旬から8月で,枝や幹に産卵する。産卵痕はつくられない。ふ化した幼虫は,はじめ形成層部を不規則に食害,後に材部に穿入し,多くの木屑を排出する。その後ふたたび材表面にでて形成層部を食害し,長形の渦巻状の食痕をつくる。渦巻部の中心からまた材部に穿入,樹幹下方に向って長い蛹室をほり,蛹化する。羽化した成虫は同じ穿入孔を通って樹皮部に円孔をあけて脱出する。
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オオトラカミキリ幼虫
の食痕
オオトラカミキリ
の成虫

シラフヨツボシヒゲナガカミキリ 

Monochamus urssovi(FISCHER)

  • 分類 甲虫目 カミキリムシ科 CERAMBYCIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約48mm 成虫:15~35mm
  • 加害樹種 トドマツ,エゾマツ,アカエゾマツ,カラマツ
  • 分布 北海道,サハリン,朝鮮,中国北部,シベリア,ヨーロッパ北部
  • 被害 幼虫が立木や伐倒木,風倒木等の樹皮下および材部に穿孔していて食害する。キクイムシ類と同時に加害していることも多い。風倒地や伐採跡地周辺の日当りのよい林縁木,あるいは,土場積した丸太等が被害を受けやすい。健全な生立木に寄生することはない。
  • 生活史 1~2年で1世代。幼虫で越冬。幼虫は材内の蛹室で蛹化し,6月中旬から9月下旬に羽化し,材に円型の孔をほって外にでる。すぐには産卵せず,栄養摂取のために小枝の樹皮を食べる(後食)。その食害によってしばしば枝先が枯れる。成熟した成虫は日のよくあたる明るい場所の衰弱立木や倒木等に集まる。雌は交尾の後,樹幹の粗皮に長さ7~8mmのかみきずを大あごでつくり,その中心に産卵管を入れて樹皮中に1個ずつ産卵する(産卵痕)。ふ化した幼虫は形成層部分(じん皮部と辺材の一部)を不規則に食害し,ある程度大きくなると材部に穿入する。材中にかなりの孔道をほって末端部に多少広い室をつくり粗い木屑をあつめて蛹室をつくり,蛹化する。
  • 寄生できない木 生活史から分かるように産卵が樹皮に行われるので樹皮のついていない材等には寄生しない。このことは樹皮に産卵する他の甲虫類に共通である。
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シラフヨツボシヒゲナガ
カミキリの幼虫
シラフヨツボシヒゲナガ
カミキリの雌成虫
 
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シラフヨツボシヒゲナガ
カミキリの産卵痕
シラフヨツボシヒゲナガ
カミキリの材部への穿入孔
シラフヨツボシヒゲナガ
カミキリ成虫の脱出孔

スギノアカネトラカミキリ 

Anaglyptus subfasciatus PIC

英名 Cryptomeria twig borer

  • 分類 甲虫目 カミキリムシ科 CERAMBYCIDAE
  • 体長 老熟幼虫20~25mm 成虫:約11mm
  • 加害樹種 スギ,ヒノキ,アスナロ属,コノテガシワ属,ビャクシン属
  • 分布 北海道,本州,四国,九州北部
  • 被害 幼虫が材部を食害する。いわゆる”とびぐされ”の原因をつくる。幼虫の孔道から周辺部にぼたん花状に変色が入るので材価が下がるが,木を枯らすことはない。被害は次項の生活史でもわかるように,枯枝の形成と関係しており,林齢がスギでは13年生程度から発生する。適正な枝打ちが被害の発生をなくすことになる。
  • 生活史 2年に1世代。1年目の越冬は幼虫。2年目は成虫で越冬する。5月下旬から成虫が材に3~4mmの円い孔をあけて脱出する。脱出孔は枯枝の部分で,枯枝の基部から4cmぐらい離れたところである。成虫は白い花に集る。羽化後交尾をして,約1週間後に産卵を始める。産卵部位は,枯れて2~3年たった枝の粗皮のめくれた部分や,二次枝の付根などで,1~2粒ずつ産卵する。ふ化幼虫は,枝の辺材部や形成層部を食害した後,幹の材中に穿入し,材中を上下に往復して不規則な幼虫孔を作って成長する。幼虫孔の断面は小判型で中に粉状の虫糞がつまっている。2年目の成熟した幼虫は枯枝にもどり,蛹室を形成し蛹化し,越冬前に羽化して成虫で越冬する。
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スギノアカネトラカミキリ
幼虫の穿入孔と食痕
スギノアカネトラカミキリの
被害をうけた材の横断面
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スギノアカネトラカミ
キリの被害材の縦断面
スギノアカネトラ
カミキリの雄成虫
スギノアカネトラ
カミキリの雌成虫

センノカミキリ 

Acalolepta luxuriosa(BATES)

  • 分類 甲虫目 カミキリムシ科 CERAMBYCIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約50mm 成虫:20~36mm
  • 加害樹種 ハリギリ,シナノキ,ヤツデ
  • 分布 日本,千島,朝鮮,中国
  • 被害 若齢幼虫は樹皮下を食害し,老熟すると材内に食入する。ハリギリの造林地で枯死した若齢木にみられることがあるが,寄生によって枯死したものか否かは不明。
  • 生活史 詳細は不明。越冬は材内で幼虫。6月上旬に蛹化し,下旬に羽化する。成虫は広葉樹の若い枝の皮等を後食し,倒木や伐採時に産卵する。
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センノカミキリ
の雌成虫
センノカミキリ
の終齢幼虫
センノカミキリの
被害をうけたハリギリ

イタヤカミキリ 

Mecynippus pubicornis BATES

英名 Maple longicorn beetle

  • 分類 甲虫目 カミキリムシ科 CERAMBYCIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約37mm 成虫:20~30mm
  • 加害樹種 ヤナギ類,イタヤカエデ
  • 分布 日本
  • 被害 幼虫が生木を食害する。
  • 生活史 2,3年に1世代。雌成虫は6~8月,比較的細い幹に縦長の傷をつけ,その中に数個の卵を産む。その年に2~3齢で越冬に入ると次の年は9月に5齢となり,2年目の越冬に入り,3年目に羽化するが,産卵の年に4齢までなると,次の年の7月に蛹化,8月に羽化する。
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イタヤカミキリ
の雌成虫
イタヤカミキリ
の終齢幼虫
イタヤカミキリの
被害をうけた材

  以下の2種は1984年現在北海道には分布していないが,マツ材線虫病の媒介者 として重要な害虫である。

マツノマダラカミキリ 

Monochamus alternatus HOPE

英名 Pine sawyer

  • 分類 甲虫目 カミキリムシ科 CERAMBYCIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約40mm 成虫:体長18~30mm
  • 加害樹種 マツ属,トウヒ属,モミ属,スギ,カラマツ等
  • 分布 日本(北海道を除く),台湾,中国
  • 生活史 東北地方では年1世代と2年1世代がある
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マツノマダラカミキリ
の終齢幼虫
マツノマダラカミキリ
成虫の後食痕
047 048
マツノマダラカミキリ
の雄成虫
マツノマダラカミキリ
の雌成虫

カラフトヒゲナガカミキリ 

Monochamus saltuarius (GEBLER)

  • 分類 甲虫目 カミキリムシ科 CERAMBYCIDAE
  • 体長 老熟幼虫:約27mm 成虫:体長11~20mm
  • 加害樹種 アカマツ,クロマツ,カラマツ,ヒメコマツ
  • 分布 本州,四国,サハリン,I日北区北方全域
  • 生活史 東北地方では年1世代と2年1世代がある。
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カラフトヒゲナガ
カミキリの雄成虫
カラフトヒゲナガ
カミキリの雌成虫

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