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エゾマツ(蝦夷松)はその名が示すとおり北海道を代表する針葉樹のひとつですが、森林内での蓄積量は1950年代から半減していると言われています。減少の原因のひとつとして、育苗の難しさ等から事業的な造林が進まなかったことが考えられます。人工造林を進める上で、植栽する地域の自然環境に適した苗木を植えることが重要です。このためには、対象となる樹種について、様々な特性の地理的変異に関する知見などを蓄積する必要があります。そこで、北海道内の15地域のエゾマツ天然林から採取した球果や種子の形態的な特性や発芽特性、さらに、これらの種子から育苗した苗木の生育特性について、地域集団の内部や集団間の変異の程度や地理的変異の有無を調べました。
写真のように同じ集団内の近隣にある2個体から採取した球果を比較したところ、近隣に生育していても球果のサイズが大きく異なっている場合があることがわかりました。
図のように同一の場所に植栽した結果、植栽から集団内のばらつきが非常に大きい結果が得られ、一方集団間に有意な差はみられませんでした。これらの結果から、北海道内のエゾマツの地域集団は、様々な形質において集団内の変異が大きく、多様性が高いことがわかりました。
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