オオバヤシャブシ(8x)×ヒメヤシャブシ(2x)のF1植物
染郷正孝
要旨
ハンノキ属ヤシャブシ節4種の種の成因を知るため,ゲノム分析を目的とした種間交雑を1974年に実施した。そのなかで,オオバヤシャブシ(8x)×ヒメヤシャブシ(2x)の交配から多くの雑種苗が得られ,その1年生時における特性を明らかにすることができたので報告する。
1年生雑種苗の生長,および気孔の大きさなどの形質は,いずれも両親種の中間を示し,これまでに知られた法則性と一致していた。
染色体数は2n=35が算定され,両親の染色体数から期待される数と一致し,人為5倍性植物であることが明確になった。
今後は,花粉母細胞における減数分裂時の染色体の行動を観察し,ヒメヤシャブシおよびオオバヤシャブシのゲノムの異同を解明して,ヤシャブシ節における種の形成について知見を得たいと考えている。
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