パプアニューギニア材の染料浸透性

後藤君子,黒須博司,加藤昭四郎,基太村洋子,堀池 清

   要旨

 未利用樹種研究班(林試)が「パプアニューギニア材 の加工的性質」の試験に供した樹種のうち,34樹種(41個体)について,2種の酸性染料 の浸透性を調べた。
 2種の染料を比較すると,Cedar Brown 61250の方がAlizarine Brilliant Sky Blue R 182 %よりも,ほとんどの樹種において良い浸透性を示した。樹種間における染料浸透性の差 異が顕著に現われた。両染料とも浸透性の良い樹種は15樹種(15個体)(アルストニア, ダイゾックス,アンチアリス,ラブラ,エボジア,プランチョネラ,アンベロイ,セルチス,スポ ンジアス,ピメロデンドロン,カンジス,ダイゾックス,パラルトカルプス,ホワイトシリス,ス テルクリア)あり,染色単板用原本としての実用性があると考えられる。一方,両染料とも 浸透性の悪い樹種は9樹種(12個体)(クワンドン,カロフィルム,カメレレ,ウォーターガム, タウン,タウン,パラキュウム,スロアネア,パシフィックメイプル)あり,これらを染色するこ とは困難である。
 一般に,全乾比重が0.40以下,吸水量(板目面)が60mg/p2 ・day以上,水加圧注入量が150s/m3以上の 樹種は,それぞれ染料の浸透通路を十分有している。裏割れ率は染料浸透性と特に関 係はない。材中あるいは材表面における染料の選択的吸着は,吸水量の少ない樹種に 顕著に起き,全乾比重・裏割れ率・水加圧注入量に関しては明確ではない。
 材色が淡白な樹種は,染料の浸透通路を十分有しており,染料の選択的吸着は,材色 が濃い樹種に起きやすい。

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