樋渡ミヨ子
立木価格算定の基礎である収穫可能な素材丸太の量は,従来,特定の採材基準ごとに実測 調査で得られた利用率や利用材積表を用いて求められてきた。しかし,需要の変化により採材基準は変更され,そのたびに実 測調査を繰り返すよりは,一般的には幹曲線式などを用いて,任意の採材基準に対応して,簡易に利用可能材積が推定できる 方式を確立しておくことが望ましい。
この研究では,幹曲線式として実用性が高いと考えられる放物線式,対数幹曲線式,幹材積式からの誘導式,相対幹曲線式, BruceとCurtisらの高次多項式について,大子営林署管内で収集したスギの資料などを用いて,各式の特性や適 合性の検討を行った。その結果,通常の利用可能材積の算定に関係のない幹足部分と梢頭部分を除くと,幹曲線式の適合性は 著しく向上し,さらに樹高級別に幹曲線式を求めることにより,実用的に十分な精度の得られることを明らかにした。また,資 料の収集を簡便にするため,皮付直径から皮内直径を推定する方式を考案した。
これらの手法を組み合わせて,収集されたデータの胸高から末口径3p以上の樹幹部分に,5種の幹曲線式を当てはめ,最適 の式を選んで,任意の採材基準により,立木から収穫可能と考えられる素材丸太の末口径別の本数,材積を推定する電算機シス テムを組み立てた。
このシステムの使用方法を,大子営林署の採材基準を用いて例示した。
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