丸山明雄
造林事業を実行するためには,基礎資料として土壌調査報告,土壌図が必要 である。ブルネイダルサラール国では,このために現在4種類の土壌調査報告が利用できる。『英領ボルネオ,ブ ルネイの土壌調査(1958)』はバンダル・スリ・ブガワンの北東部とトゥトン河下流との2地域を対象とし,前者 について5万分の1土壌図が措かれた。残念ながらこの図の対象地域はほぼすべてが人口改変地であり,今では分 析データ以外はほとんど意味がない。『土地利用可能性調査(1969)』には3枚の土壌図が含まれ,縮尺10万分の 1でほぼ全国土を覆っている。このように全国土を覆う土壌図は他にないので,役に立つ存在である。『ブルネイ 農林業開発調査(1982)』には,ラビ地域と河間地域とを対象に12 500分の1・25 000分の1・50 000分の1土壌図が 含まれ,全国土の約10分の1の調査が完了している。これらはこの国で公刊された最大の縮尺の土壌図である。 『Proposed Plantation Areaにおける土壌調査(1989)』は,13haを対象とした2 000分の1の土壌図を含んでい る。この図は対象面積が狭いため実用的な価値はあまりないが,林業経営のための大縮尺土壌図の例として意味 がある。これら4種の土壌図についてそれぞれの長所・短所を述べ,あわせてこれらの土壌調査に採用された土壌 分類体系の利害得失についても言及した。
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−森林総合研究所研究報告−
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