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土壌型(土壌亜型)

  
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褐色森林土亜群を例に示す。
その他の亜群も同様に区分する

(土壌型)
乾性褐色森林土(細粒状構造型)BA 
乾性褐色森林土(粒状・堅果状構造型) BB 
弱乾性褐色森林土BC 
適潤性褐色森林土BD 
弱湿性褐色森林土BE 
湿性褐色森林土BF 
(土壌亜型)
適潤性褐色森林土(偏乾亜型) BD(d) 

乾性褐色森林土(細粒状構造型)BA

【分布】
+ 比較的急峻な尾根や張り出し尾根付近に出現し、乾燥しやすい南西向き斜面に出現することが多い。
【断面の特徴】
+ A0層は全体としては厚くないが、F層またはF(H)層が常に発達し、H層の発達は顕著ではない
+ 暗色のA層は数cm程度で薄く、B層との境界は明瞭
+ B層の色調は淡い
+ A層およびB層のかなり深いところまで細粒状構造が発達する
+ 菌糸束に富み、極端な場合には菌糸網層M層を形成することがある

      
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乾性褐色森林土(粒状・堅果状構造型) BB

【分布】
* 緩傾斜尾根や山腹斜面上部に出現
【断面の特徴】
* 厚いF層とH層が発達するが、温帯の低山帯ではH層を欠く場合がある
* 黒色の薄いA層またはH(A)層は通常10cm程度以下であり、B層との境界は判然としている
* B層の色調は明るい
* A層は主として粒状構造が発達し、B層の上部には粒状構造または堅果状構造が、下部には細かい粒状構造または微細な堅果状構造がみられる
* 菌糸束に富むが菌糸網層M層を形成することはほとんどない


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弱乾性褐色森林土 BC

【分布】
* 山谷風の影響を受ける大きな沢に向かって突き出した尾根の上部、風がしぼられて通るような稜線の鞍部、段丘の肩部、北西の季節風を直接受けるような鈍頂な尾根付近などに出現
* ササの密生地にも出現
【断面の特徴】
* F層とH層は発達しない
* 腐植は深くまでなだらかに浸透しているが、色は淡い
* 細かな割れ目が多く、これに沿って腐植の浸透がみられるのでモザイク状を呈する
* 土層は比較的緻密で、A層下部からB層に堅果状構造がよく発達する
* B層にはしばしば菌糸束が認められる

【北海道のBCタイプについてのメモ:BD(nut)やBE(nut)について】


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適潤性褐色森林土 BD

【分布1】
* 山腹斜面の中腹から下部に広く分布し、傾斜面の場合
【断面の特徴】
* A0層は発達せずH層は通常みられない
* A層は腐植に富み暗褐色を呈し、20cm程度あるいはそれ以上に発達する場合が多く、褐色のB層へと漸変する
* A層上部には団粒状構造、下部には塊状構造が認められ、B層には弱度の塊状構造のほか特別の構造は認められない

【分布2】
* 準平原や台地の緩傾斜〜平坦地形に出現する場合
【断面の特徴】
* 土層が堅密に締まりやすい
* A層上部の団粒状構造の発達する部分が薄い
* A層以下B層まではカベ状構造を呈することが多い
* A層とB層の境界が比較的明瞭になる場合が多い


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弱湿性褐色森林土BE

【分布】
* 山腹斜面下部から沢沿いにかけて出現
* ただし、水分供給は豊富であるが停滞水的な過湿な条件にはならない場所
【断面の特徴】
* A0層は発達しない
* A層はすこぶる厚くて腐植に富み、やや暗灰色の還元色の色調を帯びた褐色のB層へ漸変する
* A層には団粒状構造が発達し、B層には特別な構造が見られない


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湿性褐色森林土 BF

【分布】
* 山脚部の沢沿いの平坦地や台地の平坦地の中央部などに出現
* 弱湿性褐色森林土BEに随伴して分布
【断面の特徴】
* しばしば薄いH層が形成される
* A層は腐植に富むがB層への腐植の浸透は少ない
* A層の団粒状構造の発達程度は弱い
* B層はカベ状で青みを帯びた灰褐色呈し、しばしば斑鉄が認められる
* 1m以内にグライ層は認められない
* 水分の供給は極めて豊富であるが土壌中の水の動きは緩慢で停滞水的な要素を帯びるために過湿な条件に近づくがグライ化作用は肉眼では認められない
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適潤性褐色森林土(偏乾亜型) BD(d)

【分布】
* 山腹斜面の中腹から上部に出現するほか、鈍頂尾根や台地の肩部に出現
【断面の特徴】
* 断面形態は次の適潤性褐色森林土 BDとほぼ同様であるが、やや乾性の特徴を示す
例えば、
* 標準的なBD型土壌よりA層はやや薄い(20cm以下の場合が多い)
* または、多少発達したF層およびH層を伴う
* または、A層上部に粒状構造あるいは団粒状構造に粒状構造を交える
* または、下部には堅果状構造の発達が認められる


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