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林業試験場関西支場
近年都市産業の高密度化にともない、大気汚染、水汚染、騒音などの公害が著るしく、これらの公害に対する直接的な技術開発、行政措置が積極的にとり入れられるとともに、都市生活の環境保全の一貫として、都市の緑化、周縁地域での保健林の造成維持などが強く要請されている。
一方、都市の背後地を占める、いわゆる里山地域で一番大きな問題となっているマツ類の大量枯損に対しては、内外関係研究者の努力により、枯損メカニズムと防除法の大要が明らかにされ、問題解決の曙光が見光された。しかし、この問題の終息には未だ技術、行政両面から、検討を要する面が多く残されている。
また、一般の森林地帯における過度の開発は森林の公益的機能を損うものとして強い批判が出されている。
当支場の管轄する地域は、我国における上記諸問題の代表地域でもあり、当場では、マツ類枯損防止に関する研究をはじめ、都市及び近郊林の環境保全技術、恒久緑化技術、風致林施業、非皆伐施業などの諸課題をとくに重点的にとり上げ、鋭意努力を重ねているが、これら諸問題の解決には、自らの努力はもとより、内外各研究機関との緊密な連けいによる研究の推進が必要と考える。
ここにお配りする昭和48年度の年報の内容は、諸要請に答えるには不充分なものであるが、我々の微意をおくみとりいただければ幸甚である。
終りに臨み、当場の試験研究の遂行に、終始ご理解とご協力、ご援助をいただいている関係各方面の皆様に厚くお礼申しあげるとともに、今後もなお一層きびしいご批判と、ご指導、ご協力をお願い申し上げる次第である。
昭和49年7月15日
林業試験場関西支場長黒島忠
一括版のpdfファイルはこちらです。年報第15号(昭和48年度)(PDF:3,252KB)
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