ここから本文です。
林業試験場関西支場
わが国の林業生産は、将来生産量の増加を見込んでもなお国内の木材需要に充分答えることができず今日程度の外材の輸入を必要とすることが予想されるため、一刻も早く社会経済情勢にマッチした効率的な生産技術体系を作り上げる必要に迫られ、しかも一方では、森林の木材生産以外の効用の需要性が最近強調され、木材生産と各種の効用に対する利用の競合調整が切実な問題となっている。森林の各種の効用については抽象的には理解できても相互に比較の可能な数量的把握方法は確立されておらず、その手法の究明が強く望まれている。以上のような背景のもとに、当支場では50年度において次に述べるような研究を実施した。農林省の各研究機関の共同の研究課題である、農林漁業における環境保全的技術に関する総合研究に48年度から引続き育林部の全研究室が参加し、主として都市近郊林の生態系の変動について研究を行った。また保護部の各研究室では本支場共同でマツの集団枯損の主原因であることが確認されたマツノザイセンチュウや伝幡者マツノマダラカミキリの生態や防除法について研究すると共に、そのほか各地に頻発している樹木の病虫害について研究を行なった。瀬戸内、近畿の地力の劣る低山地帯のマツの集団枯損跡地の更新法について、西日本3支場と共同で、府県林試の協力を得ながら、研究を進め、本年度は主としてマツノザイセンチュウの抵抗性のある外国産マツの植栽成績について調査を実施した。このほか森林の造成、施業、保護、関係の課題から、生産物の流通問題などの経営経済部門に及ぶ巾広い分野について研究を行なっている。
ここにお配りする昭和50年度の年報は一年間に実行した諸課題の研究内容を簡単に要約したものではあるが、各位のご参考に供し、今後の研究に対するご意見、ご助言を賜りたい。これらの研究は当支場の研究員のみでできるものでなく、関係のある各機関の方がたと密接な連けいをとりながら、効果的に研究を進めており、この機関に平素のご協力、ご援助に対し厚く御礼申し上げる次第である。
昭和51年7月20日
林業試験場関西支場長細井守
一括版のpdfファイルはこちらです。年報第17号(昭和50年度)(PDF:6,263KB)
Copyright © Forest Research and Management Organization. All rights reserved.