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令和2年度に国立研究開発法人森林研究・整備機構の第4期中長期目標期間が終了し、令和3年度より第5期中長期目標期間が始まりました。農林水産大臣から指示されたこの目標を達成するために、関西支所では、当機構が新たに設定した3つの重点課題のうち重点課題1「環境変動下での森林の多面的機能の発揮に向けた研究開発」及び重点課題2「森林資源の活用による循環型社会の実現と山村振興に資する研究開発」の達成に向け、令和3年4月より外部資金や運営費交付金を活用した研究活動を改めて開始したところです。
関西支所が令和3年度に遂行した課題は56課題でした。これらの課題を予算別に分類すると外部資金によるものが6割強(34課題)を占め、残りは運営費交付金による課題となっていました。外部資金課題の中では、科学研究費助成事業によるものが22課題と最も多く、そのほかは農林水産省、環境省、民間財団の研究助成金によるものでした。また、「高頻度測定による森林土壌内の菌根菌糸の生産・分解プロセスの解明」(1アaPF30)、「土層の生成から流出までの循環過程にもとづく新しい山地保全技術の開発」(1ウbPF19)、「森林景観内の樹木の多様性規定要因を解明する」(1イaPF27)など関西支所の職員が研究代表者となった4つの課題を令和3年度に新たに立ち上げることができました。
これら研究課題の遂行に加え、関西支所では産学官民を対象とした地域連携への取組についても継続して実施して参りました。主な取組としては、(1)関西支所公開講演会「森林(もり)の今昔物語」(令和3年10月22日)を龍谷大学響都ホール校友会館において開催し、コロナ禍による人数制限の下98名の方に参加していただくことができました。また、当日参加が叶わなかった皆さまのために「森林総研チャンネル」(森林総合研究所のYouTube公式ページ)において講演会の様子を公開しました。令和3年11月16,17日には(2)「地域再生シンポジウム2021 in 飛騨」を飛騨市と共催し、産学官民それぞれの立場から広葉樹を活用した地域再生等についてご講演いただくとともに、広葉樹を活かした森づくり・地域づくりの現場を見学していただきました。近畿中国森林管理局との連携・協力協定に基づく共催イベントとして(3)「再造林の省力化とシカ対策に関する現地検討会」(令和3年12月7,8日)を和歌山県田辺市のホテル及び和歌山県すさみ町の宮城川国有林で行いました。関西支所からは、コンテナ苗及びシカ対策に関する講演、捕獲したシカを運搬する装置の実演などを行いました。これらのイベントでは現地開催にオンライン配信を加えるという形をとりました。これにより遠方の皆さまや様々な制約からこれまでご参加いただけなかった皆さまにもご参加いただけるようになったと考えております。さらに、関西支所独自の取組として、YouTube動画の配信を新たに始めました。令和3年度には「昆虫標本をつくろう!」と「広葉樹利用の提案とシイタケ観察の件」の2本を「森林総研チャンネル」にアップしております。ぜひご覧下さい。その他、森の展示館を活用した「森林教室」、京都府や明治大学からの研修生受入れ、三重大学との協定に基づく講義、近畿中国森林管理局若手職員との交流、山地災害を抑えるための講演・実習など、成果の普及・地域連携について多岐にわたり実施できたと自負しております。
繰り返しになりますが、令和3年度に第5期中長期目標期間が始まりました。関西支所では新たな中長期目標を達成するための研究を行いその結果を論文等で発表するとともに、それぞれの成果を市民、林業家、民間企業・行政などの皆さまに還元するため、講演、研修・技術指導、一般公開などを通し広く普及して参りたいと考えております。あわせて近畿中国地域を中心とした森林・林業に関する様々な問題の解決にも積極的に取り組んで参りたいと考えております。皆さま方におかれましては、より一層のご支援、ご指導をお願い申し上げます。
令和4年12月
森林総合研究所関西支所長 桃原郁夫
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