森林総合研究所関西支所年報第66号
令和7年版
まえがき
森林総合研究所関西支所は、「里山」をキーワードに森林の公益的機能及び生産機能の自然的・社会的評価に基づく保全・管理手法の開発等に関する研究を進めています。
令和3年度に開始した森林研究・整備機構第5期中長期計画では、研究開発業務において「研究開発成果の最大化に向けた取組み」と共に3つの重点課題研究に取り組むこととしています。関西支所は、このうちの「1.環境変動下での森林の多面的機能の発揮に向けた研究開発」と「2.森林資源の活用による循環型社会の実現と山村振興に資する研究開発」を中心に取り組むと共に、茨城県つくば市にある森林総合研究所や日本全国に展開している支所園・育種センター・育種場との間で協働や連携を行っています。
また関西支所が対応する地域は、石川・福井・滋賀・三重以西の本州、近畿・中国地方の2府12県ですが、この地域にある国等の出先機関や自治体、公立林業試験研究機関との連携協力関係の維持継続はもちろんのこと、水源林造成業務を担う森林整備センター中部整備局・近畿北陸整備局・中国四国整備局との間でも、情報交換や広報活動連携などの交流・協力を進めています。
第5期中長期計画4年目にあたる令和6年度に関西支所が担当・分担した研究課題は76課題で、外部資金によるものが65%(50課題)でした。引き続き、地域あるいは全国や世界全域を対象として試験研究に取り組み、森林の多面的機能を更に発揮させ、循環型社会での森林資源利用や人類の持続可能な発展につながる研究を進めてまいります。
研究開発成果の最大化に向けて令和6年度に関西支所が取り組んだ主なものとしては、従来からの関西支所公開講演会「快適な春につなげる森林づくり―花粉症対策技術開発の現在―」の主催と講演動画のYouTube配信、延べ8回の一般向け「森林教室」の主催、近畿中国森林管理局との連携協定に基づく現地検討会「再造林に向けたシカ被害対策」の共催、地域の自治体や大学等からの要請に基づく研究者派遣や研修生受け入れ、一般申込や近隣小学校等の要請に基づく構内樹木園や「森の展示館」への見学受け入れと解説、外部で開催される各種関連イベントへの出展、などのほか、令和7年2月にはこれまでも協力関係にあった滋賀県東近江市との間で連携協定を締結しました。
関西支所は引き続き、地域との連携はもとより、組織や地域を超えた研究ネットワークの核として活躍できるよう努めてまいりますので、これからもご支援、ご指導を賜りますよう、お願いいたします。
令和7年12月
森林総合研究所関西支所長 軽部 正彦
目次
- 1アa1 物質・エネルギーの動態モニタリングによる気候変動影響の評価と予測技術の開発
- 1アaPF31 森林土壌の炭素蓄積量報告のための情報整備
- 1アaPF40 「真の渦集積法」が明らかにする森林群落スケールのVOC放出能とその環境応答特性
- 1アaPF41 気候変動がもたらす生態系攪乱が森林の炭素吸収量に与える影響の長期広域観測とリスクマップの構築
- 1アaPF48 モウソウチク林の炭素吸収機能を最大化させる
- 1アaPF55 山地の表層炭素動態の包括的モデリングによる過去1万年の土壌炭素吸排出史の解明
- 1アaPF56 降雨および葉の濡れ・乾きが樹冠葉の物質交換特性に与える影響解析
- 1アaPF57 日本海地域における完新世のスギ拡大に及ぼした地すべり地の影響
- 1アaPF58 半島マレーシア熱帯雨林における生態系フラックスの長期トレンド解明
- 1アaPF59 地上観測およびデータ駆動型モデルを用いた森林土壌GHG交換量の評価に関する研究
- 1アaPS1 ネットゼロエミッションの達成に必要な森林吸収源の評価
- 1アb1 地域の環境条件に応じた多様な森林機能の活用
- 1アbPF10 林業を対象とした気候変動影響予測と適応策の評価
- 1アbPF12 森林技術国際展開支援事業
- 1アbPF18 特異的な遅延展葉フェノロジーを示す季節性熱帯樹種の適応戦略とその成立条件
- 1イa1 生態系からみた森林の生物多様性に関する研究の高度化
- 1イaPF26 沖縄島北部の森林で生じた渡らない生活史は鳥類にどんな地域固有性をもたらしたか?
- 1イaPF27 森林景観内の樹木の多様性規定要因を解明する
- 1イaPF34 土壌動物の腸内微生物叢から森林の物質循環を読み解く
- 1イaPF40 線虫の生活様式多様化と種分化に関する統合的研究
- 1イaPF59 太平洋側中部海岸域における2型のカシノナガキクイムシの分布および加害生態の解明
- 1イc1 森林の生物多様性の保全と持続可能な利用に関する研究の高度化
- 1イcPF16 森林の生物多様性の分布形成機構の解明に基づく気候変動に適応的な保護区の提示
- 1イcPF36 極限環境に棲む線虫で切り拓く動物胎生化の適応的意義と進化プロセス研究
- 1イcPS2 林業収益と公益的機能のトレードオフ関係の全国解析―環境配慮型集約化の提案―
- 1ウa1 水循環・物質循環が関与する森林の機能の評価技術の開発
- 1ウaPF23 微生物を含めた環境トレーサーで古生層山地小流域における斜面地下水動態を探る
- 1ウaPF27 大気中のCO2濃度の上昇は森林からの蒸散量を増やすのか減らすのか?
- 1ウaPF30 付加体堆積岩山地における水文・地盤情報カップリングによる雨水貯留・排水特性の把握
- 1ウaPS2 放射能汚染地域の林業再生に関する技術開発
- 1ウb1 森林の山地・気象災害軽減技術の高度化
- 1ウbPS6 迅速な災害復旧等に向けた時系列・三次元モデルを用いた国土履歴のAI判別技術の開発・普及
- 1ウk1 森林における降水と渓流水質のモニタリング
- 1ウk2 森林水文モニタリング
- 1ウk3 森林気象モニタリング
- 2アa1 造林・育林技術の実証とシーズ創出に向けた研究開発
- 2アaPF10 潜む“芽”と伸びる“枝”の成り立ちから探る樹木萌芽更新の実現可能性
- 2アaPF12 タケ類の大規模開花現象の全容解明に向けて
- 2アaPF14 日本全国の林地の林業採算性マトリクス評価技術の開発
- 2アaPF15 効果的な花粉発生源対策の実施に向けた調査及び普及
- 2アaPF19 森の価値変換を通じた、自立した豊かさの実現拠点
- 2アaPF20 地域デザインのためのインクルーシブ・データプラットフォームの構築
- 2アaPF22 育成複層林への誘導方法に関する評価等委託事業
- 2アaTF1 スギ・ヒノキの着花習性の解明および着花評価技術の開発
- 2アc1 持続的な林業経営および森林空間利用のための評価・計画・管理技術の開発
- 2アcPF11 自然に関する文化的資産の保全・劣化要因の把握と教育・観光資源化にむけた検討
- 2アcPF12 管理優先度の高い森林の抽出と管理技術の開発
- 2アcPF14 消えつつある草原コモンズを再生するための管理形態と社会システムの提示
- 2アcPF20 令和6年度森林情報の高度化推進に向けた手法検討に関する調査委託事業
- 2アcPS2 無関心層を取り込んだ森林空間利用促進のためのアウトリーチ手法の提案
- 2アd1 多様化する森林との関わりを支える社会経済的・政策的方策の提示
- 2アdPF9 戦後木材海上輸送システムの歴史的変遷と日米欧関係
- 2アdPS3 EBPM実現のための森林路網B/C評価ツールの開発と社会実装
- 2アdPS4 ナラ類を中心とする家具・内装用広葉樹材供給ポテンシャルの推定
- 2アk1 収穫試験地における森林成長データの収集
- 2イa1 樹木・林業病害の実効的制御技術の開発
- 2イa2 森林林業害虫の実効的防除技術の開発
- 2イa3 森林林業害獣の実効的防除技術の開発
- 2イaPF38 腐朽菌―寄生バチ共生系で機能する情報化学物質の進化プロセスの解明
- 2イaPF41 特定外来生物クビアカツヤカミキリの新たな定着地の早期発見・早期駆除システムの開発
- 2イaPF46 相次いで侵入した外来カミキリムシから日本の果樹と樹木を守る総合対策手法の確立
- 2イaPF50 土着天敵寄生蜂を用いたシイタケ害虫キノコバエ類の総合的生物防除技術の開発
- 2イaPF55 害虫防除および安定栽培のための振動農業技術の開発と実用化
- 2イaPF56 随伴生物からカシノナガキクイムシの分布の特性に迫る
- 2イaPF61 日本と木材輸出相手国の樹木を外来病害虫から護る複合リスク緩和手法の開発
- 2イaPF62 菌類の振動感受性が可能にする対菌食者化学防御
- 2イaPS10 種子・苗木病害の診断技術および防除法の高度化
- 2イaTF6 屋久島における樹木寄生菌の多様性評価
- 2イaPF19 花粉飛散直前でも散布効果のあるスギ・ヒノキ・シラカンバ花粉飛散抑制剤の開発
- 2エaPF24 木の酒の社会実装に向けた製造プロセスの開発と山村地域での事業条件の検討
- 2エbPF5 ヤナギ超短伐期施業技術を活用した木質バイオマス燃料供給体制構築の実証事業
- 基盤研究1ウk1:森林における降水と渓流水質のモニタリング
- 基盤研究1ウk2:森林水文モニタリング―竜ノ口山森林理水試験地における2024年の概要―
- 基盤研究2アk1:収穫試験地における森林成長データの収集
- 沿革
- 土地及び施設
- 組織
- 受託出張
- 職員研修
- 受託研修生受入
- 特別研究員
- 海外派遣・出張
- 業務遂行に必要な免許の取得・技能講習等の受講
- 森の展示館(標本展示・学習館)
- 会議
- その他の取組み
- 試験地一覧表