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更新日:2016年1月29日

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千葉大学「支援循環型体制による女性研究者育成モデル」第2回シンポジウム

テーマ:「キャンパスにおけるワーク・ライフ・バランスの実現に向けて」

 日時  2008年10月6日(月曜日)14時00分-17時30 分
 場所  千葉大学けやき会館3Fレセプションホール
 主催   千葉大学両立支援企画室
参加者 塔村 真一郎

 

  参加報告

  • 基調講演:『女にとっても男にとっても最高の学問研究の場であって欲しい―千葉大学への期待』
  • 特別講演:『女性技術者の育成と活躍の場の拡大に向けた取組』
  • 特別講演:『女性研究者を活かし、育て、支えるために北大がしていること』
  • 実践報告:『千葉大学の取組:支援循環型体制の構築に向けて』
  • 感想

<基調講演:『女にとっても男にとっても最高の学問研究の場であって欲しい―千葉大学への期待』―堂本暁子(千葉県知事)>

  • 国際的に見て女性研究者が少ない。資質があるのにあきらめてしまう。日本ではそもそも親が女は短大で十分だとする家庭での教育が未だに多い。お嫁のもらい手がないなど。
  • 始まりは国連がきっかけ。国連→国の法律→学術会議の流れ。
  • 学術会議では当初は女性の委員を増やすことに猛反対があった。
  • 吉川委員長あたりから急激に女性委員が増大。陰に原ひろ子先生の功績大。先生は男性委員をうまく巻き込んで(利用して)事を成すことが上手。その方がぶつからず、スムーズに行く。まずトップの意識を変えてトップダウンでやることが重要。もう一人は緒方貞子氏(1927-)。元気な方。現場を非常に大切にする方。スタイルはやはり物静かだが、内面的な人間力・知性。人を惹きつける。
  • 千葉県の男女共同参画は企業や大学などと連携して進める。
  • 県議会からは反発が強い。女性知事が故の難しさがある。

<特別講演:『女性技術者の育成と活躍の場の拡大に向けた取組』―森茂子(日本IBM)>

  • 時間と空間のFLEXIBILITYのための様々な制度を取り入れてきた。どうやってビジョンを作り、遂行するか?
  • Eワーク制度(在宅):ある社員の社長への直訴により始まる。開発系に限る。今では男性の方が多く利用している。
  • 育児休業と短時間勤務を組み合わせることで効率的に。仕事への復帰もスムーズに。
  • 女性には子供を預けて働くことへの罪悪感、将来不安。しかし、子供と接する時間が問題なのではなく、質の問題である。いかに愛情を注ぐかによる。15年後に作り直し。今後ははじめから英語で作る。
  • メンター登録制度。メンティー:人に最低一人のメンターがいる。
  • 以前はテクニカルリーダーのポジションに女性が皆無。リーダーを養成する環境がなかった。意識的に発掘するためにトップダウンでCOSMOSを立ち上げる。メンバーは全員女性、2年任期で16名在籍。女性の意識改革の手伝いを。結果リーダーは2倍に、候補者層は1.3倍に増大。男性と同じピラミッドを達成できた。
  • 社内カンファレンスで女性だけを全員集めて、社長が講演、幹部との座談会、テクニカルリーダーの講演。研修等で女性の意識改革を図る。
  • 男性にはOld Boys Network(古くからの男人脈)があるが、女性にはない。アフター5もない。意識的に作ることから。

<特別講演:『女性研究者を活かし、育て、支えるために北大がしていること』―有賀早苗(北海道大学)>

  • 正規の女性職員はわずか7%が2年で8.4%に。学位取得者も21%と8年前の6%より増えた。
  • ポジティブアクションには賛否両論あるが、数を増やすことはそれ自体重要。数値目標をもってトップダウンで進めるべき。ただし、公正で継続的でなければ逆効果。家族(意外に気づかされる)。素人だけにグサッとくる。
  • 女性が増える=男性を減らすという発想ではなく、同じ条件(能力)なら女性を採るということを男性にも女性にも理解を求める。これまではそれが男性に優遇されていただけのこと。男性はこれまでいかに自分たちがものすごいポジティブアクションを暗黙のうちに享受してきたかを全く理解していない。能力のない女性を登用しろとは言っていない。勘違いが多い。
  • 北大では女性職員を採用した部署に全学共通の戦略的費用から補助金を出すことでインセンティブを付けた。成功している。
  • まずは受入環境を整えることが大事。総長裁量経費により病児保育”さんりんしゃ”を立ち上げた。
  • 研究者同士のカップルに同居支援策。
  • 支援室に客員准教授を採用。
  • 悩んでいる者を孤立させない→支援室の重要な仕事。
  • 親子キャンプなどの新しい取組。大変好評。輪を広げることのメリット。

<実践報告:『千葉大学の取組:支援循環型体制の構築に向けて』―森恵美(千葉大学)>

  • 支援循環体制づくり、人的資源づくり、意識改革の3本柱。支援された人が支援要員になって還元する仕組み。
  • 女性研究者同士のピアサポート、メンティー・メンター交流会の実施。効果的。
  • 女性研究者のスキルアップセミナー、学生に向けたキャリアガイダンスなど。
  • 支援室長が学部長であることを活かして教授会で活動をアピールし、全学へ周知。

感想

 原ひろ子先生が堂本知事と懇意な仲であり、国を動かす原動力となってきたことを知って驚いた。IBMはSEは完全裁量労働制であり、在宅もOK。ただし評価はアウトプットできっちりされる。北大は膨大な取組をしており脱帽。有賀先生のいろいろな思いがロゴマークに込められていることを知った。千葉大とはH19スタート組で、ある意味ライバルだが、自治体とも一緒にやっている感じがした。来年のシンポではつくば市や茨城県などとも連携していきたい


男女共同参画室 塔村 真一郎 : 記

 

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