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更新日:2017年8月2日

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お茶の水女子大学連続講演会第1回、第2回リーダーシップ論

 日時  2009年1月10日(土曜日)13時30分-15時30 分
 場所  お茶の水女子大学講堂(徽音堂)
 主催   お茶の水女子大学女性支援チーム
参加者 塔村 真一郎

  参加報告

  • リーダーとして尊敬する人二人を紹介
  • 価値理念主導のリーダーシップとは?
  • リアル・チェンジ・リーダーとは?
  • リーダーの条件とは?
  • リーダーの資質とは?
  • 質疑応答
  • 感想

<講師>

小林陽太郎氏(富士ゼロックス相談役最高顧問)『私の考えるリーダーシップ』
父はセルロイドを扱う商社マン、ロンドン滞在中に生まれる。8ヶ月で日本へ。のちの富士フィルム社長、会長。慶應で幼稚園から大学まで過ごす。卒業後2年間でペンシルバニア大ウォートンスクールでビジネスを学びMBA取得。1978年富士ゼロックス社長に。

<リーダーとして尊敬する人二人を紹介>

  • ジョセフ・ウィルソン氏(1909-1971)米ゼロックス創設者。人間力があった。あえて困難・チャレンジの道を選ぶ。スタイルは物静か。
  • PPCゼログラファーの技術に賭ける。私財を投げ打った。
  • アスペン研究所を紹介される。1949年に創設。古典に戻る、普遍的な価値、理念を研究しよう、とにかく瑣末的、専門的に文化しすぎた考え方を改める。サポートは米の経済力。様々なリーダーが研修に来る。多大な影響力を受けた。
  • 帰国後、経済界の有志で日本版アスペン研究所を八ヶ岳に作る、1977年創設。
  • もう一人は緒方貞子氏(1927-)。元気な方。現場を非常に大切にする方。スタイルはやはり物静かだが、内面的な人間力・知性。人を惹きつける。

<価値理念主導のリーダーシップとは?>

  • 今道友信氏(哲学美学比較研究国際センター所長)によると、「価値理念」→「理想」→「ビジョン」へと展開。リーダーにはビジョンが不可欠。
  • どうやってビジョンを作り、遂行するか?
  • 部下に当事者意識がなければダメ、リーダーの思い→組織の思い→皆の思いへ、共有できる、一緒になって作ることが重要。
  • ゼロックスは新参者。自前の言葉で企業理念を!皆が我々のものだと思えるもの。
  • 原案(数人で作り)→2ヶ月さらして意見を出して→長期的に通用するか?
  • 15年後に作り直し。今後ははじめから英語で作る。 

<リアル・チェンジ・リーダーとは?>

  • 大きな変革のカギを握る新しいタイプの中間管理職。
  • リアル・チェンジ・リーダーは「市場の厳しい現実」「従業員のエネルギーと自発性」「経営陣の将来に対する展望」をリンクして考えられる人材。
  • 人では成功に結びつかない。
  • 経営には社会心理学、文化人類学的要素が非常に大事。つまり人間を理解する力!→「人間力」
  • 人材の発掘とそれらを要所に配置することが重要。
  • リーダーに反対意見を言ってくれる人たちが周りに必要。信頼関係の構築。

<リーダーの条件とは?>

  • 「人を惹きつける人間的魅力」「豊かな教養に裏付けられた判断力」「自分らしくあること」
  • 自分のスタイルにするにはどうするか?反面教師も含めていいものを探す。
  • 率直におかしいと言ってくれる人を何人か持つこと。
  • 家族(意外に気づかされる)。素人だけにグサッとくる。

<リーダーの資質とは?>

  • 謙虚であること。
  • 受け入れる寛容さ。オープンに他を受け入れる。これがクリエイティブにつながる。
  • 結局はその人の人間力と謙虚さに裏付けられて→共感を呼ぶ→人を動かす→組織を動かす→持続的に惹きつける。

<質疑応答>

Q:組織が大きくなるとテーマ、理念等思っていることが伝わらない。限られた人が密室でやっていると思われる。どうやって共有していけばよいか?
A:企業などはグループに分けて責任者を指名し、それぞれに持ち帰って意見交換してもらう。案ずるより産むが易し。参画したという意味の満足感、リーダーが一生懸命やっているという認識があれば共感は得られる。特にうるさい人には事前の根回しも有効。原案段階から議論することが大事。ただし最終判断はリーダーが自信を持ってやる。

Q:リーダーになるのに性別の壁はあるのか?大学ではどのようなことを勉強すべきか?
A:昔の女性のリーダーは自分の配下につく男性を必要以上に意識していたが、数が増えて一緒に働くようになり、無理なくなってきた。普遍的な資質は同じはず。ただ未だに数が少ない現状。ちなみに米ゼロックスは会長も社長も女性、マルケーヒという方で世界の経営者ベスト50に選ばれたほどの方。

Q:サークルの長をやっているが、ただ役があるだけで自分が一生懸命やっても皆には理解されない。またサークル内で不和があったときなど、いいリーダーシップを発揮できなかった。不和が生じたとき、反対勢力ができたときなどどう対処すればよいか?
A:サークルでも理念はあるはず。何をしているのか、何を期待されているのか、リーダーとメンバーが一緒になって考える。自分の意見を先に言うか、後にするかは組織による。絶えずディスカッションすることが大事。意見の違う人には特に、何が不満か、胸を開いたコミュニケーションができるかどうか。メンバーのレベルに降りていって議論する。最後に決めるのはリーダー、責任は取る。

Q:ビジョン作りはどうするか?モチベーションの高い人、そうでない人、いろいろいる。巻き込んで一緒にやっていくためにはどうするか?またリアル・チェンジ・リーダーをどうやって選ぶか?
A:どこのリーダーにも共通の悩みである。モチベーションはどうするか、高いと思われる人にはサポートしてもらう、低い人・変わらない人は本当に必要があってしているのかという疑念がある。謙虚さが分かってくれれば多分こちらを向く。何回も会議して、次の時にどう結び付けていくかをみんな見ている。自分の言い分をどう汲み取ってくれるか。チェンジ・リーダーとはリーダー批判(人に対してではなく考え方に対して)できる人たちのこと。20人の組織なら5、6人は欲しい。ポジションに関係なく。どう配置するかの形にこだわる必要はない。ただしバランスは大事。

<感想>

ホンネのところではリーダーの謙虚さと絶え間ない組織内でのコミュニケーションがもっとも大事であることを知りたいへん勉強になった。我が身を振り返り、もっともっと人を惹きつける人間力を備えるための精進をしていきたい。

男女共同参画室 塔村真一郎 : 記
 

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