ダイバーシティ推進室 > シンポジウム・セミナー参加報告 > 2011年度シンポジウム・セミナー参加報告 > 第9回男女共同参画学協会連絡会シンポジウム
更新日:2017年4月13日
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テーマ:「今、社会が科学者に求めることーソーシャル・ウィッシュ」
日時 | 2011年10月31日(月曜日) |
場所 | 筑波大学、大学会館 |
主催 | 筑波大学 |
参加者 | 太田祐子、高野麻理子、角田光利 |
男女共同参画学協会連絡会は、現在加盟学会68学会、会員数は41 万人で、日本の科学技術分野の男女共同参画推進に大きな影響力を持つ組織です。学協会の代表から構成される運営委員会、メーリングリストによる定期的な情報交換に加え、毎年シンポジウムを開催し広く情報共有および交流を行っています。
オープニングの弦楽四重奏のあと、つくば市内に拠点を置く21の男女共同参画推進団体による活動状況紹介がありました。森林総研を含む研究および教育関連6機関に関しては、連携および各機関の活動について、産総研の長久保氏が代表して発表されました。つくば市長のあいさつの中でも、「市内の研究機関が積極的に男女共同参画を推進している」とのコメントがありました。
今回のシンポジウムの副題は、「今、社会が科学者に求めることーソーシャル・ウィッシュ」というものでした。
分科会Aでは、「震災で浮き彫りとなった科学のこれまでと今後」というテーマで講演が行われました。3.11の大震災、原発事故後、科学と科学者に対する市民の信頼性の低下と、このような事態に陥ってしまった科学と科学者の責任を踏まえて、これまでの連絡会にはなかった「ソーシャル・ウィッシュに答える」テーマが設定されたそうです。大震災と男女共同参画の取り合わせは、はじめは意外な感じがしました。しかし、震災後の避難生活や対処においても、スタッフに男性しかいないところでは、女性の存在が見えず,生じている問題が気づかれないケースが多く、女性の視点のあるなしが大きく生活に影響したそうです。また、これまでの科学の現場に女性の視点、母親の視点が欠落していたことが問題であったという話もありました。
分科会Bのテーマは「これからの若手、女性リーダー育成に向けた取り組み」でした。分科会Bでは、女性研究者支援の視点にとどまらず、外部資金ポスドクのキャリアサポートや、女子中高生の理系進学支援、博士号取得者の官民双方向での活用法の開拓など、幅広い視点から議論が交わされました。
分科会A,Bとも、男女共同参画の意義や重要性を踏まえた上で、社会的要請に応える科学の責任や重要性について示唆に富んだシンポジウムとなりました。これまで、男女共同参画は、職場社会に限定されたプロジェクトだという認識がありましたが、男女が半々で構成される社会がうまく機能するためには、場所や機会を限定せず、あらゆる局面で女性の参加比率を上げ、また、活動している女性の姿が見えるようにしていく必要があるとの指摘に,大変納得させられました。また、これまで女性特有の問題として先送りされてきた、非正規雇用の問題や、介護の問題が、現在は男性の問題にもなっていることも報告されました。男女共同参画は、女性支援という意味にとられがちですが、実はダイバーシティ確保の基本であり、それが社会的なリスク管理になることが強く印象に残りました。
きのこ・微生物研究領域、微生物工学研究室 高野麻理子 : 記
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