ダイバーシティ推進室 > シンポジウム・セミナー参加報告 > 2012年度シンポジウム・セミナー参加報告 > 平成24年度 筑波大学重点公開講座
更新日:2017年4月13日
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日時 |
2012年10月9日から |
場所 |
筑波キャンパス春日エリア |
主催 | 筑波大学ダイバーシティ推進室 |
参加者 | 安部 久・古澤 仁美 |
10月9日から11月6日までに筑波大学の重点公開講座「ダイバーシティ(多様性)から世界を読み解く!」の5回のセミナーに参加し、7人の講師のご講演を聞く機会をえたので報告します。
内容的には、男女共同参画、大学におけるダイバーシティ教育、世界遺産とダイバーシティ、介護と民俗学についてと多様でした。男女共同参画室の室員という立場で参加したので、関連したご講演の中で特に印象に残ったものについて報告します。
第1回の筑波大学 吉瀬章子氏は、筑波大学におけるワーク・ライフバランスに関する情報を講演されました。筑波大は大学の中でも女性率は高い方ですが、民間に比べて低く、制度などは遅れているのが実情で、制度化される以前は、女性職員のパーソナリティで補ってきたということでした。任期付職員、ポスドクの方々にとってキャリア形成が難しいことは大きな問題になっているということでした。また、男性の育休取得はこれまで4件のみで、非常に少ないのが実情です。男女共同参画の意識が進んでいる筑波大学においてもこのような状況であるという報告に非常に驚きました。
第4回目のパナソニックリーガル本部理事の村田恒子氏は、男女雇用機会均等法後のパナソニックの男女共同参画の取り組みを紹介して下さいました。村田氏は1986年の男女雇用機会均等法制定以前の入社で、かなりご苦労されたとのことでした。2001年に米国現地法人から帰国し、当時社長に着任した中村邦夫氏は、日本の本社に女性職員がいないのに驚き、「女性かがやき本部」という女性登用のための部門を作りました。これは現在、「多様性推進本部」となっています。村田氏は、トップが本気になって、本気を見せることが、社風を変えるのに最も大事であり、トップのわずかな軌道修正は下にいくに従ってどんどん大きくなっていく、と言われました。また、トップの考えが、現場レベルまで伝わる風土作りも重要であると言われました。また、2012年10月に発表されたIMFの緊急レポート「女性が日本を救う?」について述べられ、日本のM字カーブはゆるくなっているが、その理由は女性が子供を産んでいないからではないかという考え方があることも述べられました。オランダモデルを紹介し、オランダでは1996年に同一労働同一賃金の制度が制定され、パートタイムでも管理職になる事があることを報告されました。このような制度を日本でも整備していきたいと述べられました。
第5回の在宅診療医院ホームオンクリニック院長の平野国美氏による「介護を民俗学で考えてみよう」という話でした。ちなみに先生は、森林総研の嘱託医をされたこともある方で、先生が書かれた「看取りの医者」という本は、TBSで大竹しのぶさんが主演でドラマ化されました。
講演は、実際の在宅診療の現場で平野氏が体験・体感されたことを民俗学という客観的なフィルタを通して、読み解くという大変興味深いものでした。特にわが国では、湯灌、野辺送りなどの伝統的なやり方を地域集落で行ってきたことで日常の中で死があり、日本人の死生観は培われてきたこと、また、 現代は地域共同体の崩壊で、死生観の認識が失われてきているということ、を述べられました。そのため、現在のわが国では病院死が多く、在宅やナーシングホームでの死は少ないということです。平野氏は、360名の患者に対し月850回の往診をしているが、患者数が増えても、マニュアル化による効率化は適切でなく、顧客管理によって、それぞれの患者のバックグラウンドを知り、多様性を把握する、大事なのは家族背景であると言うことで、それによって看取る多様性も様々にあるということでした。また、経済状態、家族、宗教、個人等の多様性も重要であるということでした。
平野氏の経験では、訪問診療や訪問介護する方々が、入浴サービスを行うが、湯灌もしてもらうケースもあるということでした。地域共同体が崩壊してきており、様々な死の形があるなかで、死生観を見直すには日本民族の考えを取り込まないといけないのではないかということでした。男女共同参画社会についても述べられ、男女の性格に違いについても述べられ、デイサービスや訪問診療などでも、男性はあまりなじめず、女性は適用性があるということでした。こういった特性を地域コミュニティの再生にいかせればということでした。
男女共同参画室 安部 久 : 記
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