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更新日:2017年8月2日
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山形から発信! ~イグメン・イクボスが未来を拓く~ 父親の笑顔、母親の笑顔、子どもの笑顔が社会を変える」をテーマに、11月11日から12日までの2日間、山形県の山形ビッグウィングにおいて、ファザーリング全国フォーラムinやまがたが開催され、私は、11日に分科会2「パパが考える発達障がい児との関わり方」と、分科会5「メリット満載!イクボス的パパ育休取得マネージメントセミナー」に出席しました。
【分科会2】
分科会2「パパが考える発達障がい児との関わり方」では、私が司会進行役を務めさせていただきました。はじめに、NPO法人ファザーリングジャパン(FJ)メインマンプロジェクトリーダーの橋謙太氏から、地域の中で父親が主体となって発達障がい児を育てていくことを目的として活動しているメインマンプロジェクトの紹介がありました。その後、FJ理事の高祖常子氏をコーディネーター、発達障がいに関する専門家や、発達障がい児の父親・母親をパネリストとしたパネルディスカッションを行いました。本分科会では、事前に、山形県内の発達障がい児の保護者に、「社会、学校、事業所、自治体、家族等へ」及び「発達障がいを有する子を育てている父親へ」の2種類のメッセージを付箋に書いてもらっていました。付箋には、これまでお子さんを育ててきた中での、感謝の気持ち、行政等に対する切実なるお願い、我が子に対する不安と期待と希望、父親に対する本音等、読んでいて目頭が熱くなる言葉が綴られていました。それを元に、「パパが考える発達障がい児との関わり方」をテーマにパネルディスカッションが繰り広げられたのですが、我が子に発達障がいがあることによる特有の苦労はあるものの、結局は、父親、祖父母(特に父親の)、地域、友達、学校の理解とサポート、積極的な関わりが必要であるとの共通認識が得られました。お恥ずかしながら、現在の日本においては、発達障がい児の親に限らず、育児への負担は、まだまだ母親に大きくのしかかっています。そして父親の無理解、無関心、誤った判断等により、母親が鬱になったり、子どもの健全な成長にも影響を与えているという問題も生じています。家事・育児に関し、父親がもっともっと自分事として関わる必要があると強く感じました。
【分科会5】
分科会5「メリット満載! イクボス的パパ育休マネージメントセミナー」では、はじめに、厚生労働省山形労働局の青山雄一氏から「男性の育児休業取得の現状」について紹介がありました。男性の育児休業取得率は増加傾向にはあるものの、平成27年度で2.65%にとどまっています。一方で、育児休業を取得したかったが取得できなかった男性が3割を占めており、意識と行動が伴っていない実態も明らかになりました。その理由としては、「会社で育児休業制度が整備されていなかった」「職場が育児休業を取得しづらい雰囲気だった」等職場環境に一因があるようでした。男性の育児休業を定着させるためには、やはりイクボスの果たす役割が大きいと感じました。
続いて、中央大学大学院特任研究員でイクメンプロジェクト推進委員である高村静氏から「イクボス的育休取得マネージメントセミナー」がありました。使われた資料は、管理職向け研修資料~男性育児休業取得促進のために~で、Webサイトからパワポ資料及び動画資料をダウンロードできるので、森林総研でも活用できると思います。今回のセミナーでは、イクボスアワード受賞者のインタビュー映像と、もともとダメボスだった当人が部下や妻の発言によりイクボスへと変わっていくドラマ映像が流され、思わず苦笑してしまうシーンがありました。部下へのマネジメントは、コミュニケーションマネジメントとワークマネジメントの2つの視点から行い、家庭へ配慮しつつ、限られた時間で部下が成果し、活躍できる職場環境を実現することが重要であることを認識しました。なお、男性が育児休業を取得するメリットとしては、家族の中で親子及び夫婦間で良好な関係を築けること、育児経験から段取り力が身につき、仕事面でもより効率的な働き方への見直しが図られるとのことでした。私も第2子が誕生した際、育児休業を取得しましたが、デメリットよりもメリットの方がはるかに大きかったと感じています。
最後に、FJ理事堀越学氏をファシリテーター、山形県内の育休取得者及び育休取得者の上司をパネリストとして、男性の育児休業取得を促進するために必要なことを、上司の視点、部下の視点からディスカッションしました。育児休業取得経験者は、自らが広告塔となり、同僚に育児休業取得を進めること、上司は、(1)部下が育児休業を取得しやすい雰囲気作りが大事であることと、(2)部下が育児休業を取得する期間を予め予測できることから、時間をかけて、部下の仕事の引き継ぎ、フォロー体制について計画的に確立することが重要であるという話がありました。そして、登壇者全員が、高村氏が紹介した管理者向け研修資料を社内でも活用したいとコメントしていました。なお、研修資料には今回紹介した管理者向けの他従業員向けもあります。
男性の育児休業取得は、家族にも、本人にも、会社にもメリットがあることを上司には認識してもらい、男性の育児休業取得率を飛躍的に向上させ、男性が主体的に家事・育児に関わることが当たり前の世の中にしたいですね。
国際連携・気候変動研究拠点 佐野由輝:記
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