ダイバーシティ推進室 > シンポジウム・セミナー参加報告 > 2016年度シンポジウム・セミナー参加報告 > 「農業における女性・若者の活躍推進に向けたG7フォーラム」(第二部)参加報告
更新日:2017年8月2日
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日時 |
2016年12月12日(月曜日) |
場所 | 三田共用会議所(東京都港区三田2-1-8) |
主催 | 農林水産省 |
参加者 | ダイバーシティ推進室長 安部 久 |
第二部は斎藤健農林水産副大臣の挨拶で始まりました。世界的にも女性活躍している企業体の方が利益を上げている状況と、農業女子プロジェクトの成果の紹介がありました。続いて安倍昭恵内閣総理大臣夫人がご挨拶され、ご自身の米作りの農業体験と経営するレストランでのこだわった食材の紹介、女性目線でのきめ細かな視点、バリューチェーンでの女性と若者の活躍の有効性についてお話しされました。
その後、佐藤一絵就農・女性課長が司会、昭恵夫人がコメンテーターでパネルディスカッションが行われました。パネリストは、神奈川県の小規模野菜農家で農業女子プロジェクトメンバーの高橋久美子氏、熊本県の養豚業者セブンフーズ株式会社代表取締役の前田佳良子氏、フランスの羊農家カレン・セレス氏、米国オハイオ州で酪農と穀物生産を行うローズ・ハーチャー氏での4人でした。司会者から、農業は重労働で男性向きだと思われるが、そんな中で女性はどのように活躍されているのか、という質問に、フランスの制度によって農地の半分は自分所有で夫婦とも経営者となっている、経理は女性が行い、投資についても自分が最終決定している、義理の母は農業に従事していたが、そういう権限はなかった、日本の女性の状況はセレス氏の義母に近いのではないか、とセレス氏、いろいろな役割があり、意思決定について助言的な役割をもって持っていて、コミュニケーション能力が高い女性は、男性と補完的に社会的、教育的な仕事をしている、とハーチャー氏、会社の女性比率は10%でかつてはやめる女性が多かったので、女性が長く働くためにワークライフバランスを導入、スキルアップ計画は男性と異なるものを用意した、研修や女性のクウォーター性も大事である、と前田氏、最初は新規就農者の女性であるということによるデメリットが多かったが、女性だからできないと思われて配慮され、かえってメリットになったこともあった、今はメリットとデメリット半々ぐらい、日本では人々の意識の深いところに役割分担が平等ではなく、女性が劣っているという意識が残っている、と高橋氏がそれぞれ述べられました。昭恵夫人は、女性が家事、子育てをしながら農業に従事されているが、やらされている感がある、子供達にやってもらいたいと思わせるような農業にして欲しい、両親の背中を見て子供は農業に進むような魅力的な農業になればいい、と述べられました。セレス氏は、末っ子は継ぎたいと言っている、農家には独身男性が多く、お嫁さんがいない、農業女子のイメージアップをすればよいのではないかと述べられました。司会者から、かつては農家の嫁不足が問題だったが、婿捜しをしている農家も増えている現状があると述べられました。ハーチャー氏は、様々な体験を小さいうちにすることで、農業が楽しいと認識させることは大事である、高橋氏も、ロールモデルとして農業を見せることが大事で、そうすると農業を通してPDCAサイクルを回せるようになる、と述べられました。
農業や農業政策の意志決定の場に女性が少ない現状について、セレス氏は、農業は現場で行われているが、意志決定は東京やパリなどの都市で行われているので、組織があることの重要性は現場からの声を吸い上げること、組織の中に男女がいることの2点が大事である、と述べられました。司会者から日本の現状について、農業委員会の7%が女性で、現在は首長が任命している、委員として女性を多く採用して欲しいと要求している、と述べられました。前田氏は農業委員会に女性がいないと困る、女性の後継者増えているので、女性の理事やリーダーの育成の活動をして欲しいと述べられました。
司会者から昭恵夫人に安倍政権で女性活躍推進法が制定されたが、ご自身の経験から、農業における女性活躍にアドバイスがあるか?の質問に、昭恵夫人は、農業に積極的に取り組んでいる女性が増えてきている、それには、東日本大震災で食料の重要性が認識されたことが大きいと思う、食料を自分で作れる人が魅力的という価値観が広がり、一歩進んで農業をやっている男子も魅力的と感じる女性が増えればいいと思う、と述べられました。
会場からの、食を取り扱っている若者の中には農業に興味を持つものもいるが、知識がないのでどうすれば良いか?の質問に、ハーチャー氏は、食とのつながりがきっかけで、都市部で家庭菜園などがはやり、農業と全く関係ない分野からの農業への参入が増えていることを述べられました。セレス氏は、フランスでは研修農場の制度があり、従事者には沢山の措置がある、直販型農業、宿付農家、エネルギー生産など、若者がやる気と創造力を持つことが大事であると述べられました。
人材確保が難しい中、外国人雇用の可能性はあるか?という質問に、前田氏の会社では、人材確保には付随して人事評価を見直す必要があり、どのような人事評価によって社員の満足度を上げるかの勉強会をしている、すでにベトナム人4人を雇用しており、今後さらに増えること、それぞれのニーズに合わせた制度の導入を検討しているということでした。
最後のコメントでは、ハーチャー氏は、問題に対峙し解決するための焦点を絞った議論が必要で、情報交換が大事であるということを述べられました。セレス氏は、農業は食糧を供給しており、食糧供給は国に安定をもたらすと述べられました。前田氏は、農業と女性のステータスが上がることを願うと述べられました。高橋氏は、農業女子、新規就農者の代表としてここに来た、良いものを作って、良いコミュニケーションができ、そういうロールモデルとなれればうれしいと述べられました。
最後に昭恵夫人が、農業は世界で重要な産業であると考える、人手不足に対してはマッチングも大事で、消費者にも認知してもらうこと、また、農業は環境にも貢献しているため、未来の地球を考えるためにも女性が手を取り合って世界作っていきましょう、というお話しで締めくくられました。
ダイバーシティ推進室長:安部 久 記
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