ダイバーシティ推進室 > 知る > 外部機関でのシンポジウム・セミナー > 平成29年度科学技術人材育成費補助事業フォーラム参加報告
更新日:2018年3月8日
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平成29年度文部科学省科学技術人材育成費補助事業フォーラム 「研究力強化に向けた女性研究者の活躍促進」に参加したので報告します。内容は女性活躍推進の取組の事例報告と2つのパネルディスカッションの3部で構成されていました。
金沢大学、岩手大学、岡山大学、立命館大学、九州大学から報告があり、置かれた状況によって各大学の取組は様々でした。金沢大学や岩手大学からは北東北や北陸地域の拠点となって、産学官の研究機関を巻き込んだ取組事例の報告がありました。立命館大学は私立の伝統校であり、取組を進めるにあたりかなりの障害があり、まず、意識改革から取組を始める必要があるということでした。比較的取組が進んでいる岡山大学の採用からキャリアアップまでの切れ目のない支援体制を確立して、上手くいっている例や、九州大学のスーパー女性研究者を育てるための「帯同雇用制度」の紹介がありました。その他に、採用 / 応募の割合の男女差や論文数の男女差などを公表すると、女性限定公募などの制度の成果が見える化でき、制度の必要性を示すのに説得力があるという興味深い話もありました。
広島大学、長崎大学、名古屋工業大学、大阪大学、東京農工大学によるパネルディスカッションでした。女性活躍推進を進める上で大学経営に求められる重要なことが3点挙げられました。1つ目は情報共有、2つ目は意識改革、3つ目はコミュニケーションとネットワークです。
情報共有については、例えば人事等の正しいデータを出すこと、それを大学全体で共有することです。大学ごとにそのシステムは異なっているが、部局長レベルまでは機能するが、教授層以下まで浸透させるにはまだ時間がかかるということでした。
意識改革については、管理職の意識改革が大事であり、それにはトップダウンが有効であるが、こちらも部局長のレベルまでは意識は伝わるが、その下までは伝わりにくいということでした。
「マネジメントはコミュニケーションである」と言われた方もおられるように、コミュニケーションとネットワークについては、どのパネラーの方も重要性を指摘されました。たとえば、人事は計画的・戦略的なものなので、そこにいかに女性活躍の考えを取り込むかについては、その過程で丁寧に対話をする必要があること、奇抜なことはとりあえずやってみると意見は多数出てくるが、個別の意見に丁寧に対応すると理解が得られるということ、また、昨今はダイバーシティの取組が進んでいる企業も多いことから、企業を上手に巻き込むことも重要であるということでした。大学のミッションは、「ネットワークと継続」であると言われたパネラーもおられました。
山形大学、筑波大学、名古屋大学、大阪市立大学の取組紹介と実際に研究支援を受けた研究者からのお話し、民間企業の取組紹介で構成されていました。どの大学も研究とライフイベントが重なる時期の研究支援員は有効であることを述べられました。大阪市立大学では、研究支援員の情報について近隣の他大学と共有して有効に進めているということでした。企業における取組として報告された日本IBMの行木理事は、1.将来像があること(ロールモデル)、2.ワークライフバランス、3.オールドボーイズネットワーク(男性が中心となって見えないところで決めること)をなくすこと、4.リーダー育成マネジメント、の4点の重要性を指摘されました。
パネルディスカッションでは、研究支援員についての配置や予算確保について話し合われました。大学や地域などによって状況が異なるので、ベストプラクティス集などをつくって欲しいと言う要望がありました。女性教授を増やすことついては、女性研究者の母数を増やすことも大事であること、また、女性限定枠を設けることは女性ウェルカムのメッセージになり有効であるということでした。やはり、ここでもインクルージョン(全員参加)が大事で、様々な分野の人とコミュニケーションを取れることが今後益々重要になってくるということでした。
ダイバーシティ推進室長 安部 久:記
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