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更新日:2017年9月28日

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「SOGI/LGBTとダイバーシティ」参加報告

  • 日時 2017年09月12日(火曜日)
  • 場所 筑波大学(つくば市天王台1-1-1)
  • 主催 筑波大学
  • 参加者 野生動物研究領域 鳥獣生態研究室 永田純子

あなたがあなたらしくあれば、それで良い!
-筑波大学セミナー「SOGI/LGBTとダイバーシティ」参加報告

講師:松中権 氏 (認定NPO法人 グッド・エイジング・エールズ代表

「カミングアウトってなんだろう」

Apple社の最高経営責任者であるTim Cook氏は「I’m proud to be gay」と、ゲイであることをカミングアウトしました。2014年10月。自分自身で考え抜いた末、有名経済雑誌「ビジネスウィーク」上での公表でした。Appleという世界的企業のトップが起こしたアクションは、社会的に大きな意味のあるものであり、SOGI/LGBT等のジェンダーマイノリティの方々を勇気づけるものでした。

「自己否定」という苦悩

今回の講師である松中権(マツナカ ゴン)氏。彼のカミングアウトを一言で表すと「Lucky & Happy」だそうです。様々な人との関わりを通して物事が良い方向に進んでくようになったと話しますが、それまでの道のりは決して平坦ではありません。ゲイとしての半生を振り返る形で講演をして頂きました。
非常に心に残ったことは、多くのジェンダーマイノリティの方々は、カミングアウトするまでの長い時間、常に「自己否定」という苦悩を抱えている、ということです。
松中さんの場合、最初の自己否定は小学生の時に始まりました。好きな子は誰?という話になると男子は女子の、女子は男子の名前をあげていたので、自分の心を隠しながら、ある女性アイドルの名をあげたそうです。会話の一つ一つに気を使い、苦悩を隠す毎日が大学生まで続きました。

誰もが自分らしく過ごせる3rd place

2年間過ごした留学先のオーストラリアで転機が訪れました。オーストラリアは多民族国家。大学にジェンダースタディゼミがあるなど、ジェンダーマイノリティへの理解もありました。多様な人々が生活する環境の中で、ゲイである自分を自分らしく表現できる生活を送ることができたそうです。留学を終え“日本一お堅い会社”への内定が決まりますが、残念ながら自分のことをひた隠しにする生活に戻ることになりました。しかし、ニューヨークでの海外勤務を機に、2010年、団体「グッド・エイジング・エールズ」を立ち上げ、2足のワラジを履くことになりました(本職でのカミングアウトはその頃だったそうです)。当時、ジェンダーマイノリティ当事者のみを対象とする団体が多い中、この団体は、完全にオープンなものでした。家庭でもない、職場でもない3rd place。当事者の方々だけでなくストレートの方々も一緒に楽しめるプラットフォームづくりを行うことをコンセプトにしています。

あなたもなれる「アライさん」

荒井さんではなく、新井さんでもなく、Allyさんです。「協力者」、「支持者」、「味方」という意味です(ジーニアス英和大辞典より)。自身はセクシャルマイノリティではないけれど、当事者たちの活動を支持し、支援をする理解者のことです。カミングアウトは、セクシャルマイノリティの方々の選択肢の一つですが、そうしたいと思った方々が勇気を出して一歩前に進むためには、それを選択できる環境(Ally)の存在がとても重要です。私は「アライさん」です。Allyの方々、ほんのちょっとの勇気を出してみませんか?「私はアライさんです!」と。

あなたがあなたらしければ、それでよい

松中さんが両親へカミングアウトしたのは、2014年だったそうです。父親の2分間の沈黙の後、母親から「ゴンがゴンらしかったら、いいんじゃないの?」。結局、和やかに終わりました。数日後、父親が「ゴンが作る老人ホームに入ってもいいか?」と言ってくれたそうです。両親との間の見えない壁が取り払われた瞬間です。
セクシャルマイノリティの方々は、苦しい日常を送っているにも関わらず、社会になじむために苦悩を感じないように自身をコントロールするという毎日を送っています。多くの職場で、「誰もが自分らしく働ける環境」を実現するための模索が始まっています。

野生動物研究領域 鳥獣生態研究室・ダイバーシティ推進室(併任)永田純子:記

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