ダイバーシティ推進室 > シンポジウム・セミナー参加報告 > イノベーションを支える多様な人材の活躍に向けてオンラインセミナー参加報告
更新日:2020年12月17日
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つくば女性研究者支援協議会、つくば市、内閣府共催のオンラインセミナーに森林総研ダイバーシティ推進室の2名(伊ケ﨑室長、小長谷)が参加しました。2021年度から5年間を対象とする第6期科学技術・イノベーション基本計画の検討を進めるにあたって、科学技術・イノベーションに関わる多様なステークホルダーの理解を深めながら、次期基本計画を共創する機会として、全国キャラバンが実施されています。今回のセミナーでは、つくば市近郊の企業、大学、研究所で働く研究者を対象に、女性研究者の人材育成や研究環境に関する課題と解決方法についてグループワークが行われ、内閣府およびつくば市と意見交換を行いました。
つくば市の人口約24万5千人のうち、研究従事者は約2万人で、その21.1%が女性です。これは、全国平均の16.6%を大きく上回ります。つくば市では科学技術振興指針を作成し、女性研究者の活躍支援を明記しています。取り組みとしては、中高生対象のリケジョ(理系女子)育成プログラムの実施、「常陽リビング」で研究者を題材とした記事の掲載、支援協議会との意見交換などが挙げられます。市役所ではワークライフバランス推進プランを策定し、女性の活躍推進に努めています。具体的には、管理職登用にむけたセミナーの実施、企業との連携、採用拡大に向けた積極的な周知活動が挙げられます。子育て環境については、近年、つくば市に転入する子育て世代が増え、保育所への申込数が増加しています。それを受けて、昨年は県内最多となる618人分の席数を拡充したことにより、待機児童数を昨年度4月時点の131人から今年度4月時点には42人まで改善しました。今後も保育所やこども園の開設を進め、待機児童数ゼロを目指して、子育て環境を改善します。。
科学技術・イノベーション基本計画では、第5期にSociety5.0「超スマート社会」の実現を掲げ、破壊的イノベーションを考えるにあたって多様性やインクルーシブが大切としています。全国キャラバンで様々な人の意見を取り入れながら、計画の変革期と新型コロナによる転換期においては、これまでの価値観・社会のしくみを根本的に考え直したり、リデザインしたりすることが大きなテーマと考えています。Society5.0のコンセプトを提案したので、その具体化、つまり国民の安全や安心、そして幸福になれる人間中心の社会を実現する目的でデジタルトランスフォーメーションを進めていくことが重要と考えています。計画策定のスケジュールとしては、8月に科学技術・イノベーション基本計画の方向性の検討案を提示し、12月中に素案策定、パブリックコメント、答申、閣議決定という流れになります。
研究力やイノベーションと多様性の間には強い相関があると報告されています。そのため、多様性を高めることは、これからの社会の在り方を考える上で大きな力となります。女性研究者をめぐる状況については、大学では女性教員が増えてきていますが、企業ではまだ低い状況にあります。また、職階別(学長~大学院博士課程)に見ると、女性の割合は全体的に微増し続けていますが、大学院博士課程はほぼ横ばいの状況であり、改善が重要と認識しています。その方策として、女子中高生や保護者等に研究者の魅力を伝えていくことや、現職の女性研究者が幸せそうに生きがいをもって仕事をしている姿を見せることが大事ですが、それに加えて何に取り組んでいけば良いのかを一緒に考えていく必要があります。一方、職階が上がると企業の方が女性の研究者の比率が高くなります。そのため、単に女性を増やすのではなく、リーダーシップをとれる女性の人材を増やすというのも大事な視点です。その他に、研究環境の向上や、若手研究者のキャリア開始時期と重なるライフイベントへの配慮も重要です。
今回の議論の中で挙がってきた意見が国に届き、政策等に反映されることを期待しています。
私としては特に、科学技術を駆使して、デジタル化の実装や人材育成・サポートに力を入れて欲しいと思います。
きのこ・森林植生研究領域 (ダイバーシティ推進室併任) 小長谷 啓介 : 記
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