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更新日:2022年4月20日
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令和4年3月29日、学会の午前セッションと午後セッションの間に、上記シンポジウムが開催された。開催挨拶、趣旨説明に続き、マジョリティではない立場から見えたことについて5名から講演があった。育児と研究キャリアの両立を志向する人、職場で研究者最初の男性育休取得者、日本から海外へ、海外から日本へと育った国と異なるところで働いた経験者、国際結婚経験者が、それぞれの体験を語った。どの講演も上辺を取り繕うことなく、自身の真情が伝わり大変ありがたい時間だった。例えば、日本の大学では男女の比率が男性に偏ることに何の疑問も持っていなかったが、アメリカの大学で「何でこんなに女性が多いのだろうか」と逆に感じたことで、以前の環境に対する見方が変わった。こういうことはなかなか人前で吐露しにくい話であるが、そういったことも隠さず語られ、多くの人が共感したり勇気づけられたりしたことと思う。また、男女共同参画を課題として始まった取り組みが、マイノリティの課題へ広く展開したことが、こうした問題を語りやすくしていると感じた。
最後に全講演者によるパネルディスカッションがあり、事実婚歴の長い司会者がパートナーシップについての見解をパネリストから引き出した。これも各人が思っていることを誠実に述べ、様々な形での奮闘が伝わってくるものであった。
閉会にあたり、学会会長からのコメントと担当理事からの挨拶があった。会長からは「自分たちの世代が育児をしていた頃とはずいぶん変わったと感じた」とのコメントがあった。確かに時代によって、家庭や仕事とのバランスのとり方は大きく変わる。しかし、それを超えて、今の困りごとと格闘する人たちに寄り添うことは、想像力や共感力を駆使すること、来し方をふりかえりながらより良い研究環境を希求することで達成されるだろう。広く寄り添う輪が生まれることを願ってやまない。
森林昆虫研究領域 (ダイバーシティ推進室併任)加賀谷悦子:記
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