ダイバーシティ推進室 > 知る > ダイバーシティ推進セミナー > 第17回エンカレッジ推進セミナー&懇話会
更新日:2021年3月10日
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冒頭、理事長から、森林総研が女性研究者支援モデル育成事業に採択された経緯から、現在にいたる男女共同参画の取り組みについて説明がありました。第3期男女共同参画基本計画では、より一層の女性の活躍が期待されています。日本学術会議発行の「今月の学術の動向」においても「男女共同参画は学問を変えるか」特集が組まれているとのことでした。「女性の輝けない研究所に明日はない」として開始された森林総研の男女共同参画の今後は、その成果の「見える化」が最も重要であると述べられました。
「近年の国際的な男女共同参画の動向について」
講師の原ひろ子先生は、世界的に著名な文化人類学者であると同時に、ジェンダー研究の第一人者として、長年、男女共同参画の推進に携われ、森林総合研究所では平成19年度に採択された文部科学省の女性研究者支援モデル育成事業の開始以来8年間にわたり、アドバイザーをお引き受けいただいています。今回の第17回エンカレッジ推進セミナーでは「近年の国際的な男女共同参画の動向について」と題し、国内外および学術会議における男女共同参画のこれまでの歩みについて講演されました。
原先生は、東日本大震災の災害対応での女性参画等、国内政策における男女共同参画の重要性について継続的に提言されており、学術的な活動をはるかに超えた男女共同参画施策推進の中枢として多くの御経験をお持ちです。セミナーでは、国連の動向、日本(政府・国会)の動向、日本学術会議・その他における女性研究者問題に対する動向、JAICOWS(日本女性研究者問題に関するNGO等)の動向を俯瞰した年表を解説する講義をされ、国連での憲章や提言の採択が、国内の政策を牽引し、身近な施策へとつながっていく非常にダイナミックな流れが理解できました。女性労働者問題担当部局が、労働省発足と同時に婦人少年局として設置されていながら、農業労働者や主婦など雇用者以外の女性を扱えないために、男女共同参画室が内閣府に設置された経緯など、名称は知っていてもその由来や履歴をこの講演で始めて知ったことも多かったです。講演中には、男女共同参画学協会連絡会の行った大規模アンケートが男女共同参画政策の予算化に成果をあげた例に言及され、「データに基づいて発言する」理系研究者の発想や役割に期待されているとコメントされました。先生自らの体験談に裏打ちされた個々の出来事の説明は非常に興味深く、資料年表の一行の歴史的事実の裏側に潜む様々なやりとりや攻防が垣間見えました。
懇話会では、原先生の活動の原点であるヘヤー・インディアン研究が話題となり、今から数十年前に女性一人で原住民と生活を共にする学術調査を行った原先生のバイタリティに圧倒されました。また、その調査結果として、カナダ北部の森林限界線に居住するヘヤー・インディアンでは、寒冷地での極限状態での生活環境下で、男女の性差など無視された柔軟な家族構成や役割が機能しており、我々の考える男女の役割が固定観念に固められていることが述べられました。その他に、懇話会では、人種という言葉は国際連合発足時から国連憲章に取り上げられたが、人間が作り出した虚構の概念であり、実際の人類の多様性は連続的に変化することが近年明らかになっており、国連でも人種という言葉は使われなくなったことが話題になりました。
きのこ・微生物研究領域 きのこ研究室 男女共同参画室(併任) 高野 麻理子: 記
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