ダイバーシティ推進室 > 知る > ダイバーシティ推進セミナー > 第23回エンカレッジ推進セミナー開催報告
更新日:2021年3月10日
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マイノリティの就業(就学)機会を拡大するために使われはじめた言葉だそうです。多様性は、性別(ジェンダー)、障がいの有無や種類、年齢、性的指向・性自認、国籍、エスニシティ(ethnicity、民族的背景)、宗教、言語、信条などで構成されます。日本では、出身地や家族形態(母子家庭等)などの要素も含まれる場合があります。ダイバーシティと言えば、アメリカでは様々な人種や民族をイメージしますが、日本ではジェンダーをイメージします。
単に構成員が多様になるだけではなく、マイノリティを積極的に含めていく(マイノリティの権利擁護)という意味が包含されています。また、それが組織にとって有意義であると考えられています。
知識、経験、価値観、興味関心、生活や仕事で抱えている課題などによって、どの項目を重視するかは変わってきます。例えば、アメリカでは、特定の人種を「排除しない」ことが企業イメージにとって重要です。
「202030」(にまるにまるさんまる)は、社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位にいる女性が占める割合を30%に増やすという日本政府の男女共同参画の目標です。指導的地位にいる人とは、(1)議会議員、(2)法人等で課長相当職以上の人、(3)専門性が高い職業の人(研究者、医師、弁護士など)を指します。日本は、2014年の「ジェンダー不平等指数(GII)」で見ると、155か国中26位で悪くありません。これは、日本は保健分野(妊産婦死亡率など)が強いためです。しかし、保健、教育に加えて経済参画、政治参画のデータから作成された2016年の「ジェンダー・ギャップ指数(GGI)」で見ると、144か国中111位で先進国では最悪の水準にあります。保健、教育の値は悪くないが、経済参画(118位)、政治参画(103位)の値が低いというのが日本の現状です。
男女共同参画からダイバーシティへ
男女共同参画が達成できないうちにダイバーシティに移行すると、男女共同参画の視点が薄められてしまう可能性があるので注意が必要です。例えば、ある委員会を構成する委員が一見多様なようでも、外国人の女性が委員になっているなど、マイノリティが重なっていることも多くあります。
災害時に避難所や仮設住宅を運営する場合、ダイバーシティの発想がなかったら、どのような課題や問題が生じるか隣席の人と話し合いました。参加者からは、トイレ、更衣室、障がいがある人、妊婦、日本語が通じない人、宗教的に食事制限がある人への無配慮などが問題となるのではないかとの予想が出されました。柘植先生が行った調査では、赤ちゃんがいる人、障がいのある人などが実際に避難所に居づらくなって出ていかざるを得なくなったことが分かっています。
講演の最後にダイバーシティを導入することで研究所には、どのような利点があるか考えましょうという宿題が出されました。企業であれは、ダイバーシティの導入によって生産性の向上につながったり、多様な顧客に対して売れる製品が作れるようになったりする利点があるとされています。また、「当社は差別をしていません、人権を尊重していますよ」ということが企業イメージの向上にもつながります。研究所では、どうでしょうか?
懇談会では、柘植先生や参加者から様々な話題や意見が出され、盛り上がりました。性別に起因する問題はまだ分かりやすいが、それ以外の想定外の困りごとは、いかに声を拾うかということが重要だそうです。森林総合研究所では、ダイバーシティ推進室がその役割を担うということでしょう。また、相談を受けたときに、解決のために適切な人につなげることが大事で、そういう意味では広い人脈を持った人が相談窓口にいたほうがよいとのことです。さらに、既に存在しているダイバーシティ(性的指向・性自認など)に気が付くことも大事などなど…
柘植先生は、大学での取組み事例(例えば、様々な性自認に対応できるよう、性別に関係なく使えるトイレや更衣室を設けているなど)も織り交ぜながら、分かりやすく話してくださいました。私は、これまでダイバーシティと言えば、生物多様性しか思い浮かびませんでしたが、ダイバーシティ推進室併任となったのをきっかけに、人間に対してもダイバーシティという言葉を使うことを知り、今回、その言葉の意味をよく考えるよい機会となりました。研究は、アイディア勝負の面もあるので、より多様な人間が集まったほうが、より多様なアイディアが生まれ、そうすれば問題解決や新しい発見につながる可能性がより高くなるのではないかと思います(ダイバーシティ導入の効果を数値化するのは難しいと思いますが)。
樹木分子遺伝研究領域 ストレス応答研究室 ダイバーシティ推進室(併任) 田原 恒: 記
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