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更新日:2025年10月30日

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令和7年度労働衛生週間 第46回ダイバーシティ推進セミナー開催報告

「こころの健康を守るセルフケア」-自分に寄り添うためのセルフ・コンパッションの実践-に関する研修会開催報告

【演題】
「こころの健康を守るセルフケア」
-自分に寄り添うためのセルフ・コンパッションの実践- 

【講師】筑波大学 人間系心理学域 准教授 水野 雅之 氏

  • コンパッションとは
  • 感情の3つの円
  • コンパッションの実践

【対象】森林研究・整備機構の役職員

【日時】令和7年10月9日(木曜日)

【会場】森林総合研究所 本館2階 大会議室+オンライン

【参加者】会場参加27名、オンライン参加412名 総数:439名の参加がありました 

46回ダイバーシティ推進セミナー2

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参加報告

1.概要

本セミナーは、職場における「コンパッション(思いやり)」についての理解を深め、セルフケアや対人関係に役立てることを目的として開催されました。総務部長による挨拶に続き、水野雅之先生による講演とワークを中心に進行され、最後に村田安全衛生専門役より締めの挨拶がありました。

2.講演内容

水野先生は、自己紹介の後、以下のような内容で講演を行いました。

(1)コンパッションとは何か

「コンパッション」は、仏教の四つの心(慈・悲・喜・捨)のうち「悲(ひ)」にあたり、「自分や他者の苦しみに気づき、それを和らげようとする心の動き」を指します。日本語では「思いやり」に近い意味を持ちますが、完全に一致する訳語はないとのことでした。 さらに、水野先生はコンパッションには以下の3つのベクトルがあると説明されました。

  • 自分自身への思いやり(セルフ・コンパッション)
  • 他者への思いやり
  • 他者からの思いやりの受け入れ

この3つは常に変動しており、自分の感情がどのシステムに偏っているかをモニタリングすることが大切とされました。

(2)感情の3つの円モデル

感情には、以下の3つのシステムがあるという理論が紹介されました。

  • 獲得システム:(達成感・興奮などの感情)=これら強いと興奮
  • 脅威システム:警戒感=これが強いと不安・怒り・落ち込みなどの感情
  • 安心システム:安全感=これが強いと充実・安全につながり落ち着き・充実感などの感情

この3つは常に変動しており、自分の感情がどのシステムに偏っているかをモニタリングすることが大切とされました。

3.実践ワーク

講演の中では、理論の理解を深めるための実践的なワークも行われました。

  • ワーク1:現在の自分の感情を3つの円モデルに当てはめてみる(感情の可視化)
  • ワーク2:呼吸を使ったリラクゼーション(安心システムの活性化)
    →呼吸による方法が苦手な人は、五感を使った別の方法でも可
  • ワーク3:「安全な場所」をイメージし、心を落ち着ける
  • ワーク4:自分へのコンパッションの手紙を書く
    →ストレスを感じた出来事について、第三者視点で優しい言葉をかける

4.質疑応答

参加者からの質問に対し、水野先生が以下のように回答されました。

  • Q.「もう頑張らなくてもいいかな」と思ってもいい?
    →特に周囲から問題視されていないなら、それで構わない。
  • Q.他者に声をかけても拒否される場合は?
    →表面上は拒否していても、心の中では何かを感じている。声掛けは続けてよい。
  • Q.呼吸法はいつ行えばいいか
    →寝る前や入浴中、昼休みなど、1日1回のペースがおすすめ。

5.まとめ

水野先生の講演では、コンパッションの理論とともに、日常生活に応用できる実践方法が紹介されました。特にセルフ・コンパッションの大切さと効果について学び、自分自身への接し方を見直すきっかけとなりました。「まずは気づくこと」「練習と試行錯誤を重ねること」「うまくできなくても、そんな自分にも思いやりを持つこと」が重要であると感じました。引き続き、日常の中で自分と他者に対してコンパッションを持つ姿勢を意識していきたいと思います。

 

震災復興・放射性物質研究拠点(ダイバーシティ推進室併任)坂下 渉:記

 

当日の会場の様子

第46回ダイバーシティ推進セミナーc1 第46回ダイバーシティ推進セミナーc2 第46回ダイバーシティ推進セミナーc3
村田さんから講師の紹介 水野先生ご講演 宮沢総務部長から挨拶
第46回ダイバーシティ推進セミナーc4 第46回ダイバーシティ推進セミナーc5 第46回ダイバーシティ推進セミナーc6
宇野理事参加の様子

講演中の様子

質疑応答の様子

 

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