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更新日:2021年3月17日
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文部科学省科学技術振興調整費女性研究者支援モデル育成事業
森林総合研究所・男女共同参画室では、平成19年度から取り組んで参りました文科省女性研究者支援事業の最後を飾るセミナーとして、講師には、内閣府少子化社会対策推進会議委員、ワーク・ライフ・バランス官民連絡会議他、各種会議委員を務め、ワーク・ライフ・バランスの学術的に研究で日本の第一人者である渥美由喜氏と、東京電力(株)におけるダイバーシティ推進で活躍されている雨宮弘子氏のお二人をお迎えし、女性の参画を進めるにあたって深くかかわる課題であるワーク・ライフ・バランスとダイバーシティの推進についてご講演・ご討議いただきました。
日経ワーク・ライフ・バランスの学術的研究で日本の第一人者である渥美由喜氏と、日本のビジネス界の女性のトップランナーのお一人である東京電力(株)ダイバーシティ推進室長・雨宮弘子氏をお迎えし、女性の参画を進めるにあたって深くかかわる課題であるワーク・ライフ・バランスとダイバーシティの推進についてご講演・ご討議いただきました。
このセミナーはオープンセミナーとし、外部関係機関職員の参加もありました。
講師 渥美由喜氏「ワークライフバランスの意義」
渥美氏講演の様子 |
組織におけるワークライフバランス(WLB)の推進は、生産性の重視に直結する。様々な制約を持つ職員が生産性を基準に公正に評価されることで、多様な人材を確保し、活用することができるようになる。これによってモチベーションや業績の向上が進み、組織が強くなる。厳しい制約の中にあるからこそ、厳しく業務の無駄(過剰サービス、過剰品質)をなくす努力が必要である。これは、ミス、過労、メンタルなどのリスクを減らすことに繋がる。また、多様な人材を管理するためには、コミュニケーション能力が要となる。コミュニケーション能力を身につけるためは、管理者自身が多様性を体得する必要があり、その意味でも、管理者のWLBは非常に重要である。男性の育児休業のようなマイノリティー体験は、周囲の人たちの考えを肌で感じることができ、相互理解の上でも本人のマネジメント力においても大変有益である。WLBに取り組むことが困難な業種ほど、早く取り組むことで大きな差別化を図ることが可能であり、不況期の時こそ、差別化を進めるチャンスである。 |
講師 雨宮弘子氏「東京電力のワーク・ライフ・バランス推進」
雨宮氏ご講演の様子 |
WLBは仕事か家庭かといったシーソー的な話ではなく、仕事とそれ以外の多用な個人のライフ(生存と生活)をどうバランスよく回していくかという問題であり、誰もが持つ問題であり、一人一人違っているのだということをまず理解してもらいたい。上司世代は専業主婦の妻を持つ人が多いが、部下は単身または共働きが増え、職員はモノカルチャから多様化へと変化している。仕事をとりまく多様なライフを循環よくうまく回すことで、それが個人にとっても組織にとっても重要である。東京電力では、多様性を活かせる風土作りを目指し、従来の「休む支援」から「働く支援」に重心を移して、WLBを推進している。「メリハリワーク」、「意識度チェック」など、事業所ごとの特徴を活かし、様々な取組を行い、その結果、残業を減らし、業務を効率化することに成功した。多様性の認識はリスクマネジメントに、また多様性の活用はチームマネージメントにそれぞれ有益である。今後、働き方の多様性を検討することや、介護やメンタルヘルスへの対応、さらに管理職と一般職との意識のギャップを埋めることなどが課題である。 |
討論の様子 |
質問:参加者から受けた質問をもとに討議を進めた。両立支援制度のあり方や上司と一般職の意識のギャップの埋め方、意識の啓発についての質問が多かった。 雨宮氏:意識の啓発には時間がかかるが、諦めず繰り返すことが重要。組織ごとの実態を示し、成果を競わせるような工夫も必要である。個人の価値観は否定しないが、世の中の変化(潮流)を認識した上で、違う価値観の存在を受容することや自分の価値観を他人に強要しないことが重要で、それがダイバーシティである。 渥美氏:圧倒的多数の傍観者にいかに当事者意識を持たせるかが鍵になる。川柳の募集など、誰もが自分のWLBを振り返り、意識する場の設定が有効(八都県市の例)。なお、上司の年代層は、今後「介護ホラー」や「熟年離婚ホラー」などの問題がプライベートで起こる確率がますます高まる。上司こそがWLBを実践する必要がある。業績の向上は働きやすい職場から生まれ、その基本は多様性の受容である(exclusionからinclusionへ)。 |
WLBは女性のためのものではなく、職員全体の問題、経営戦略である。特に、上司のWLBが重要であることは、両講演者の強調されるところであった。意識改革には時間がかかるが、地道に、粘り強く行う一方、傍観者を減らすための取り組みやアプローチは様々に工夫する必要があることなど、森林総研の今後の取り組みにおいて参考になる助言を多くいただいた。
男女共同参画室 金指あや子:記
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