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更新日:2025年10月2日
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【日時】令和7年9月19日(金曜日)10時~17時
【会場】丸ビルホール(東京都千代田区丸の内2-4-1 丸ビル7階)
【対象】一般
【主催】日本経済新聞社 日経BP
2025年9月19日、日経SDGsフェスのジェンダーギャップ会議がオンラインで開かれました。主催は日本経済新聞社と日経BP、テーマは「今、改めて問うダイバーシティの真価~歩みを止めない組織の挑戦~」で、朝から夕方まで講演や討論を組み合わせたセッションが行われた。ここでは男性職員による全体的な感想と、女性職員による一つのセッションに対する感想を合わせて紹介する。
定年退職後再雇用の身で、いまさらダイバーシティ推進の取り組みを学んでもなぁと、いささかのためらいを感じながら、ジェンダーギャップ会議を視聴した。長時間にわたるプログラムだったものの、結果として学ぶ点が多く、自分自身の研究や組織のあり方を考えるうえでも大きな刺激となった。現在、組織の意思決定に関わる人、これからも組織の一員として働いていく人も見れば良いと感じた。感じたことの一部を紹介する。
女性の活躍を妨げる要因として、制度が十分に使いこなせないことやロールモデルの不足、さらに「私なんて…」と自分を過小評価してしまう内面の壁が指摘された。こうした課題に向き合うため、本格的なメンタリングプログラムを導入した企業がある。メンタリングにより、ロールモデルを見える形に示し、社員同士が継続的に対話することで、参加者の意識や行動に確かな変化が生まれた。
最初は受け身だったメンティーが「自分にもできる」と挑戦する気持ちを持つようになり、メンター自身も後輩に向き合う中で自分のキャリアを見つめ直すきっかけを得た。普段は話す機会のなかった人同士がつながり、自分の意見を言う勇気を持てたことも大きな成果となった。コロナ禍で人との関わりが減り、長時間労働が孤立を深める中、背中を見て学ぶだけでなく、対話を重ねて支え合う枠組みとして、メンタリングの大切さがあらためて浮き彫りになった。
別の講演では、男性の長時間労働がいかに企業成長と社会課題の足かせになっているかが語られた。日本の男性は平均10時間以上働き、そのうち2時間は残業とされる。睡眠不足で生産性が下がり、若い人ほどその影響が大きい。さらに、この長時間労働は結婚や子育てへの不安とも直結し、少子化に拍車をかけている。若い世代の多くは「仕事とプライベートの両立」を大切にしており、柔軟な働き方を叶える企業こそ求められている。残業削減を単なる目標とするのではなく、「業務として何をすべきか」を考え直すことが大事だという視点が印象的だった。
今回強く心に残ったのは「男性の日」など、男性向けの施策の大切さである。これまで女性や子育て世代を対象とした取り組みは数多くあった一方で、男性に特化したものは少なく、不満に思う声も出ていた。体調が悪くても休みにくい、無理をして働いてしまう―そんな男性特有の働き方を見直すためにも、男性向けイベントは意義がある。「休んでもいい」という空気が広がれば、急な休みにも職場が柔軟に対応できるようになり、結果的に誰にとっても働きやすくなる。また、人は自分がケアされることで初めて周りをケアできる。このようなことから男性を対象にした企画は、互いを思いやる職場文化をつくる出発点となる。
今回の会議を振り返ると、女性が力を発揮するためには文化の変革と制度の整備が不可欠であり、あわせてメンタリングのような継続的な支援が鍵になることがよくわかった。そして男性に目を向けた施策もまた、組織をよりインクルーシブにし、働きやすさを広げるために欠かせない視点だと学ぶことができた。
国際戦略科(ダイバーシティ推進室併任)藤間剛:記
このセッションでは、女性が管理職として活躍するために必要な環境や意識について、グローバル企業(メットライフ生命、日本イーライリリー)の実例をもとに議論が行われた。
管理職としての自信は、成功体験とそのフィードバックの積み重ねによって形成される。挑戦をためらう傾向に対しては、前向きなフィードバック文化と心理的安全性の高い職場が支えとなる。
ピアコーチ(上司と部下といった力関係のない、仲間同士が対話を通じて相手の潜在能力を引き出すコミュニケーション手法)やメンター制度など、周囲の支援が「ひとりで頑張らなくていい」という安心感につながっている。
経営層と現場社員の直接対話や、無記名で意見を提出できるデジタル意見箱など、現場の声を可視化する仕組みが整備されており、できる範囲で柔軟に対応する姿勢が印象的だった。
管理ではなく、部下を鼓舞し、挑戦を支える「リーダー」が求められている。自己認識と他者認識に優れ、心理的安全性を高める存在が、組織の成長を牽引する。つまり、リーダーとは「安心して挑戦できるよう支えてくれる人」なのだと思う。そう考えると、これくらいなら自分にもできるかもしれないという前向きな気持ちが湧いてくる。
これらの実例報告と議論を試聴して森林総研では「管理職=管理する人」というイメージが強く、業務の幅が限定的で、やりがいを感じにくい印象もある。そうした固定観念が、管理職になろうという意欲を下げてしまっているのかもしれないと感じた。
管理職になりたがらない女性が多いのは、一般企業でも同様の傾向があることが分かった。グローバル企業の事例がそのまま森林総研に当てはまるかは分からないが、参考にできる点は多かった。特に、リーダーにもメンターがつくこと、現場と上層部の直接対話、分野横断的なコーヒーセッションなどは、孤独感の解消や職場への愛着、心理的安全性の向上につながるため、森林総研だけでなく森林研究・機構全体でも取り入れていける可能性を感じた。
樹木分子遺伝研究領域(ダイバーシティ推進室併任) 鈴木節子:記
ジェンダーギャップ会議のプログラムと当日のアーカイブ動画は、下記にてご覧いただけます。
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