森林総合研究所について > 国際連携 > 共同研究 > グローバルサウス諸国における森林を活用した防災・減災技術展開促進事業
更新日:2025年6月2日
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ベトナム森林科学アカデミー(Vietnamese Academy of Forest Sciences)、ベトナム社会主義共和国
チュラロンコン大学(Chulalongkorn University)、タイ王国
2025年度 林野庁補助事業
玉井 幸治(森林防災研究領域)
近年、気候変動に起因するとみられる自然災害はその規模を増してきており、人間の社会生活にも大きな影響を及ぼしています。2023年3月に公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書では、「人為的な気候変動は、既に世界中の全ての地域において多くの気象と気候の極端現象に影響を及ぼしている。このことは、自然と人々に対し広範な悪影響、及び関連する損失と損害をもたらしている」ことが報告されています。
気候変動対策の重要性が国際的に指摘される中、積極的な開発が行われている経済成長の著しいグローバルサウス諸国には、自然災害への対応として防災・減災分野に注力することが求められています。気候変動対策では、自然を基盤とした解決策(Nature-based Solutions: NbS)の必要性が高まっており、我が国が有する治山技術を始めとした森林を活用した防災・減災技術は、途上国、特にアジアモンスーン地域の諸国に対しても有効と考えられます。
グローバルサウス諸国における我が国の民間事業者による森林を活用した防災・減災に関する案件形成を促進するための調査・分析、技術的検討を行います。また日本国内の民間事業者等を対象に、グローバルサウス諸国における案件形成に有益な情報を提供する情報ハブを構築します。
(1) ベトナム社会主義共和国およびタイ王国を調査対象国として、我が国民間事業者の海外展開に資するため、現地の土地利用形態や災害の態様、災害対策の実施状況や発注プロセス、森林を活用した防災・減災技術を適用する際の効果的な実施方法や工法について、国内外の文献及び現地調査、相手国政府担当者等へのヒアリング等などにより、森林を活用した防災・減災技術の展開促進に係る調査・分析、技術的検討を行います。
(2) 我が国の治山事業を始めとした森林を活用した防災・減災技術を相手国政府関係者等に認識してもらうための広報資料を英語で作成し、発信します。また国内民間事業者等を対象に、グローバルサウス諸国における森林を活用した防災・減災案件形成に有益な情報を提供する情報ハブを構築します。
図1:ベトナム山間域で発生する表層崩壊
図2:タイの侵食が進む海岸線にあるマングローブ林
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