森林総合研究所について > 国際連携 > 共同研究 > 熱帯林における外来種の侵入リスクの定量化と優占林分の機能評価
更新日:2020年10月28日
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マレーシアプトラ大学(Universiti Putra Malaysia)、マレーシア
シンガポール南洋理工大学(Nanyang Technological University)、シンガポール
高知大学
2020~2022年度 JSPS科研費
田中 憲蔵(植物生態研究領域)
世界的に見ても種の多様性が高く、保全価値の高い東南アジア熱帯雨林は人為活動により劣化が急速に進行し、外来種侵入リスクが高まっています。例えばこの地域で最も古くから森林劣化が進行したシンガポールでは、侵略的な外来の植物種の定着が深刻でそれらが優占する林分が全土に広がっています。外来種の生態特性の定量化、侵入可能な環境を特定することは、外来種の分布拡大の将来予測や駆除や侵入防止策を立てるために不可欠です。さらに、外来種が優占する林分の動態や成長など生態特性についてはデータが無く、炭素収支など森林機能の定量化が困難です。
この研究では、まず外来種と在来種の発芽能力や定着環境などから侵入しやすい環境を解明します。次に、外来種が優占する林分の物質循環や炭素固定能力など機能特性を評価します。
カエンボク(Spathodea campanulata)とセクロピア(Cecropia spp.)はシンガポールなど東南アジアで生息範囲を広げており、世界の侵略的外来種ワースト100にも数えられています。これらの外来種と代表的な在来種(Macaranga spp.やShorea spp.)の発芽環境や実生の定着環境を苗畑での操作実験や野外での分布から明らかにします。また、カエンボクやセクロピアが優占する林分に毎木調査プロットを設け成長や枯死などをモニタリングします。
外来種が好む光環境や土壌タイプ、水分量などから在来種の林分内で外来種が侵入しやすい環境を特定できます。これらの環境がわかれば、外来種の侵入対策が立てやすくなります。また、外来種が優占する林分の炭素固定能力などが明らかになれば、地域の炭素収支の精度を高めることにつながります。
外来種のセクロピア(左)と カエンボク(右)の優占林
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