森林総合研究所について > 国際連携 > 共同研究 > 特異的な遅延展葉フェノロジーを示す季節性熱帯樹種の適応戦略とその成立条件
更新日:2024年6月6日
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カンボジア王国森林局、森林・野生生物開発研究所
2023~2025年度 JSPS科研費
伊藤 江利子(関西支所)
1年が雨季と乾季に分かれる季節性熱帯の落葉林では樹木は乾季に葉を落とし、雨季になる直前に樹木が新しい葉を出して(展葉)、森林は新緑の季節を迎えます。そのような落葉林においてシクンシ科モモタマナ属高木種Terminalia alataの形態異型(無毛型)だけが雨季の始まりから数か月遅れて展葉していました。この無毛型の特異的な遅延展葉が、無毛型の生存にどのように役立ち、どのような条件で成り立つのかは分かっていません。
カンボジア落葉フタバガキ林に生育するTerminalia alata 無毛型の遅延展葉の生存戦略をその成立条件とともに明らかにすることを目的としています。
カンボジアの季節性熱帯落葉林においてTerminalia alata の無毛型(葉の裏に毛がない、展葉が遅い、乾燥立地に分布)と有毛型(葉の裏に毛が密生する、展葉が早い、湿潤立地に分布)の生活史を微地形ごとに調べて、無毛型と有毛型が生存できる条件を明らかにします。また無毛型と有毛型の遺伝解析を行って、二型が遺伝的にどれくらい離れているかを明らかにします。
(学会発表)
伊藤江利子, 菊地賢, 古家直行, TITH Bora (2024) 落葉フタバガキ林における無毛型Terminalia alata の複合適応形質. 日本生態学会大会講演要旨集, 71:PR0656
新緑を迎えた雨季始まりの森林の様子です。赤みがかった緑色や鮮やかな黄緑色など様々な色合いの緑色が樹冠を彩ります。
森林の樹冠の様子を魚眼レンズで撮影した全天空写真です。新緑の季節、有毛型Terminalia alataを含むすべての樹種が展葉している中で、無毛型だけがまだ葉を落としたままです。
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