衛星画像データから広葉樹林化しやすいところを探る
─画像解析ソフトを使用した林相区分─
あ
1 はじめに
低コストで広葉樹林へと更新する技術開発の一環として、衛星画像データを用いたオブジェクト(ある程度のまとまりを持ったピクセル(画素)の集合)ベースによる林相(構成する樹種などによって示される森林の全体像)の区分方法について研究を行いました。
2 方法および結果
従来のピクセルベース画像が画像解析ソフトを使用して衛星画像データのピクセル単位のスペクトル情報を基に、その類似度によって分類を行ってきたのに対して、オブジェクトベースの分類では、このスペクトル情報に加え形状に関する情報によって画像をオブジェクトに分割したのち、そのオブジェクトの有する属性(輝度値の平均値、標準偏差、形状、隣接関係など)によって分類する点が大きく異なっています。
対象地は、愛媛県松山市の東西5 km×南北10 kmの区域とし、分類の基準となる林分データを現地調査により取得しました(図-1)。
この取得した現地調査データを基に、対象区域で最も精度良く林相区分が出来るオブジェクトの属性について検討を行いました。
その結果、針葉樹(スギ、ヒノキ)、広葉樹、その他(竹林等)の3つに分類した場合、その分類精度は、それぞれ82%、75%、73%となり、現場でも十分使用できる精度が得られました(図-2)。
3 おわりに
この分類方法を用いることによって、実際に現地へ行くことが困難な奥山等でも、衛星画像データによって林相区分を行うことが可能となり、林業行政の推進にも役立つことが期待されます。


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