北海道野生生物観測ネットワークの概要
観測ネットワークの枠組み
 各参加機関がそれぞれ主体的に調査を行い、森林総研が技術面でサポートする体制で進めました。
 定点観測を核とし、これにさまざまな目的で行われる短期・一時調査を組み込む形でネットワークを形成しました。
 定点観測には、森林管理局・東京大学・東京農業大学・京都大学・北海道大学・森林総研が参加しました。
 短期・一時調査では、道環境科学研究センター・森林管理署などから協力を得ました。
 参加・協力機関と担当者を参照。
観測方法
 林道脇の木に自動撮影装置を設置し、林道を通る中大型哺乳類を主な対象として観測を行いました。
 6ヶ所以上の撮影地点を互いに離して配置し、期間は2〜4週間。夜だけ撮影と24時間撮影の場合があります。
 観測方法とデータ処理を参照。
観測点
 固定観測点は2016年時点で最高の16ヶ所でした。共同観測の開始は早いところで2006年です。
 内訳は、北海道森林管理局8ヶ所、東京大学2ヶ所、東京農業大学1ヶ所、京都大学2ヶ所、北海道大学1ヶ所、森林総研2ヶ所です。
 短期・一時調査には、北海道環境科学研究センター18ヶ所、森林管理署3ヶ所、森林総研5ヶ所などがあります。
データの利活用
 データは各参加機関がそれぞれ個別に管理・活用するほか、森林総研が一括管理し、広域的に利活用を図りました。
 本サイトは観測結果を広域的に活用するために開設したものです。
 その他、関係各機関には適宜必要な情報提供(アライグマ情報など)を直接行いました。
観測ネットワークの背景と目的
 野生生物に関わる問題には、数の増加による農林業や生態系への影響、外来種の侵入と分布拡大、在来種の保全などがあります。
 道内では、シカの増加とその被害、アライグマの定着と分布拡大、在来種クロテンの地域的絶滅などが具体例として挙げられます。
 従来有効な観測体制がなかったために、問題が顕在化するまで状況を把握できず、対策の基礎となるデータも十分ではありませんでした。
 こうした状況を改善するために、森林総研北海道支所は野生生物観測技術を開発しました。
 この技術を基に進めてきたのがこの観測ネットワークです(参照)。
 今後、この観測ネットワークをモデルに、各地で観測体制が整備されることを切に願うところです。
観測の意義
 観測は比較に意味があります。地域間の比較も可能ですが、さらに重要なのは時系列の比較です。
 特に観測年数の多いところでは、さまざまな示唆が得られています(観測結果の各ページを参照)。
 こうした観測を重ねれば、野生生物問題に対する的確な状況判断、早めの対処が可能となります。