研究紹介 > 刊行物 > 研究成果選集 > 平成6年度 研究成果選集 1994 > 機械導入跡地における土壌攪乱
更新日:2012年7月11日
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問題名:生産目標に対応した施業技術の向上と機械化による作業技術の体系化
担当:生産技術部造林機械研究室 山田健・佐々木尚三
林業労働人口の減少と高齢化が進みつつある現在,林業の機械化が必要である。しかし,車両系機械が林地を走行することは林内土壌の攪乱を招く。土壌の攪乱は後継植生の更新・成長や林地保全に大きな影響を与えるといわれている。機械化森林作業を行う上での,土壌攪乱の防止策あるいはガイドライン設定のための基礎的資料として,その実態を定量的に把握するために現地調査と実験を行った。
機械作業が土壌に与える撹乱の実態を把握するため,レーキドーザによる掻起し跡地及びフェラーバンチャ,スキッダによる伐採搬出跡地に土壌断面を作成し,土壌の理化学性を調査した。掻起し跡地では気相の増大と液相の減少が見られ,作業道,土場では著しい固相の増大とそれに伴う密度の増加が見られた(図1)。C, N含有率は掻起し跡地では対照区よりは低いものの掻起し年次の古いところほど高く,作業道,土場では著しく低く, トラクタ走行跡地では対照区とあまり変わらなかった(図2)。表土の有機物含有量は,人為的な地剥ぎを行うことにより減少するものと考えられる。表土のせん断抵抗は,植生の残存しているところでは植物根系の量に依存することが分かった。
長期間車両による踏圧を受けていない林地で,8か月の間隔をあけて2度にわたってホイールトラクタを6 段階の走行回数で走行させ,走行直後区と8 か月経過区でそれぞれ走行区と対照区の表土の硬度と密度を測定した。その結果,走行回数と表土の硬度,密度との間には,走行直後区,8か月経過区とも統計的に有意な対数関数的関係があった。また,8か月経過区では走行直後区と比較して,密度,硬度とも走行回数が少ないところほど走行前に近い値に回復する傾向が見られた(図3,図4)。
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