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アカマツ針葉の寿命と光合成能力は樹冠の上部と下部で大きく異なる
 

2008年9月24日掲載

論文名 Leaf-age effects on seasonal variability in photosynthetic parameters and its relationships with leaf mass per area and leaf nitrogen concentration within a Pinus densiflora crown(アカマツ樹冠内における光合成能力および葉内窒素量の季節変化に及ぼす葉齢の影響)
著者(所属)

韓 慶民・川崎 達郎(植物生態研究領域)、中野 隆志(山梨県環境科学研究所)、千葉 幸弘(植物生態研究領域)

掲載誌 Tree Physiology(樹木生理学、カナダ)、2008年4月
内容紹介  森林の二酸化炭素吸収量の変化を予測するためには、森林を構成する樹冠のさまざまな葉の生理特性を解明し、それを踏まえた森林の光合成モデルを開発する必要があります。そこで、本研究ではアカマツ林を対象に、樹冠内の葉の位置と葉齢に着目し、光合成能力の季節変化を観測しました。その結果、樹冠の上層にある葉は寿命が3年と短いものの、展葉から落葉までの期間、高い光合成能力を維持し続けることが分かりました。一方、下層にある葉の寿命は5年と長いものの、高い光合成能力を有するのは2年目の葉のみで、その後落葉するまでは光合成能力が当初の6割程度に落ち込むことが明らかになりました。このような樹冠内における葉の位置と葉齢、光合成能力の季節変化の関係は世界的にも初めての知見です。今後、このような新知見をアカマツ林の光合成モデルに組み込み、環境変動や成長にともなう二酸化炭素吸収量の変化を明らかにする計画です。

 

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