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ほだ木の害虫、ハラアカコブカミキリ幼虫の人工飼育法の開発

 2012年1月13日掲載

論文名 Artificial diets for the larval oak longicorn beetle, Moechotypa diphysis (Coleoptera: Cerambycidae) (ハラアカコブカミキリ幼虫用の人工飼料)
著者(所属)

小坂 肇(森林総研 九州支所)

掲載誌

Applied Entomology and Zoology 46:581-584 (2011年11月) DOI:10.1007/s13355-011-0063-9(外部サイトへリンク)

内容紹介

シイタケを原木で栽培するには、クヌギなどの丸太を「ほだ木」として使います。そのほだ木を食害してシイタケの収穫量を減らす、ハラアカコブカミキリという害虫がいます。このカミキリムシは、もともと日本では対馬にしかいませんでした。それが、シイタケの原木の持込により九州に侵入して1970年代半ばに定着したと考えられ、今では本州にも分布地域を広げつつあります。しかし、これまでハラアカコブカミキリを人工的に飼育できないことが新たな防除法開発の妨げとなっていました。そこで本研究では、人工飼料を用いてハラアカコブカミキリ幼虫の飼育を試み、成功しました。飼育に用いたのは、蚕用の人工飼料に乾燥酵母と水、さらにクヌギかブナのおが屑を混ぜた飼料です。この人工飼料に孵化したばかりの幼虫を入れて25℃で育てると、6割以上が成虫になりました。ハラアカコブカミキリ幼虫の人工飼育に成功したことにより、人工飼育した幼虫を用いた新たな防除法の開発や飼育温度と発育の関係を調べて、分布域拡大のリスク評価を行うことができるようになりました。

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