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2012年2月20日掲載
論文名 | Experimental release of a parasitoid, Doryctes yogoi Watanabe (Hymenoptera: Braconidae), on Semanotus japonicus Lacordaire (Coleoptera: Cerambycidae) inoculated into live Japanese cedar trees (Cryptomeria japonica D.Don). ( ヨゴオナガコマユバチのスギ生立木に接種したスギカミキリに対する放飼試験) |
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著者(所属) |
浦野 忠久(森林総研 森林昆虫研究領域) |
掲載誌 |
Journal of Forest Research 17: (2012年) DOI:10.10.1007/s10310-012-0334-5(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
スギカミキリは、スギの最も重要な害虫の一つで、生きた木(生立木)に侵入して木を枯らしたり、材を著しく傷つけたりします。しかし、幼虫の90%以上は、木の分泌した樹脂(やに)によって死亡してしまうのです。そして、生き残ったわずかな幼虫が材内に穿入して被害をもたらします。そこで、この幼虫の数を更に減らすことが必要です。樹木の内部に潜む害虫は、農薬による防除が難しいため、天敵による防除が有望視されています。そこで、寄生バチであるヨゴオナガコマユバチを飼育し、カミキリ幼虫の穿入した生立木に放す実験を行いました。その結果、ハチが寄生できないようにした木での幼虫の死亡率が92.6%であったのに対し、ハチを放した木では99.3%のスギカミキリ幼虫が死亡し、寄生バチの効果が確認できました。ヨゴオナガコマユバチは大量増殖や被害木の周囲に誘引する技術の開発により、スギカミキリの防除に活用できます。 |
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