研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2013年紹介分 > 厚い合板を屋根に使う ―耐震性を高めて国産材の需要拡大―
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2013年8月12日掲載
論文名 | 厚物合板を張った切妻屋根構面の存在床倍率評価 |
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著者(所属) |
青木 謙治、杉本 健一(構造利用研究領域) |
掲載誌 | 木材工業、68巻9号、日本木材加工技術協会、2013年9月 |
内容紹介 |
我が国は世界有数の地震国です。地震によって古い木造住宅が被害を受ける危険性も高く、過去の地震でも様々な被害を受けてきました。1995年の阪神・淡路大震災以降、木造住宅の地震に対する安全性(耐震性)を高める研究が数多く行われてきました。しかし、壁や床に比べると、屋根については耐震性を高める研究があまり行われておらず、構造計算に必要な性能値も示されていませんでした。 そこで、木造住宅の床に使われることの多い厚さ28mmの合板(厚物合板)を屋根に使い、さらに、垂木(たるき)という梁の上に乗せる細い木を使わない、手間の省ける構法を提案し、その耐震性能を実験的に検証しました。その結果、従来構法と比較して厚い合板と長い釘を使うことにより大きく変形しても強度性能が低下しないこと、梁の固定方法を工夫することにより大きく性能が向上すること等が明らかとなりました。また、これまで明らかでなかった、構造計算を行う設計者が参照することができる技術的な性能値(床倍率)も示すことができました。 この結果により、これまで使用されることの少なかった屋根にも厚物合板を使うことができ、技術的な性能値を使って構造計算をすることも可能になるため、木造住宅の耐震性がより一層高まる事が期待されます。また、国産材が用いられている厚物合板の使用量が増えることで、木材自給率の向上にも貢献します。 |
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