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2013年9月6日掲載
論文名 | Root orientation can affect detection accuracy of ground penetrating radar (地中レーダー法による樹木根の検出精度に、根の伸長方向と測線方向がなす角度が影響する) |
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著者(所属) |
谷川 東子(森林総研 関西支所)、平野 恭弘(名古屋大)、 檀浦 正子(京都大)、山瀬 敬太郎(兵庫県森林技術センター)、 青野 健治・石井 正博・五十嵐 鉄朗 (環境総合テクノス)、 池野 英利(兵庫県立大)、金澤 洋一(神戸大) |
掲載誌 | Plant and Soil、Springer Science+Business Media Dordrecht 2013、2013.6、DOI:10.1007/s11104-013-1798-6(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
樹木の根は木を支え養分や水を吸収するだけでなく、土壌を保持して土砂崩れを抑止したり、強風や津波に持ちこたえる海岸林をつくったりします。そのような根の働きを評価するために、土を掘らずに樹木根の太さや広がりを推定する方法が望まれます。 地中レーダー法は、地上から地下に発信した電磁波が、物体に当たると地上に戻ってくる「反射波」を使ってその形状を測る技術です。地面を掘り返すことなく1日に数キロメートルの探査が可能という画期的な方法ですが、地中レーダー法を樹木根へ応用した歴史はまだ浅く、根の検出率は50~60%にとどまっています。これは根の伸びている方向と測定する方向(測線)のなす角度の組み合わせが良くない場合に、根の検出率が低下するためといわれています。 本研究では、根の角度を0~180度まで正確に15度刻みで測定しレーダー画像を解析しました。その結果、根の伸びている方向と測線が45~135度ではクリアなレーダー画像が得られたものの、それ以外の角度では根が判別できない乱れた画像になることが分かりました。そこで、直交する2測線で得た検出値を用いて解析したところ、土壌中の根の直径が精度よく推定できるようになりました。 根を違う角度から2回スキャンする。たったこれだけの方法で、根の検出率は確実にアップし、その直径も推定できました。樹木根系の分布評価方法として、地中レーダー法の実用化が近づいてきました。この技術を用いて土砂災害防止など森林のもつ多面的な機能の強化に役立つ研究を進めてまいります。 |
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