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気候変動で変わるサクラの開花期 ―新たなモデルによる予測―

2015年8月5日掲載

論文名

Modeling daily flowering probabilities: expected impact of climate change on Japanese cherry phenology (日開花確率のモデル:日本の桜の開花期に対する気候変動の影響予測)

著者(所属)

Jenica M. Allen (コネチカット大学,米国)、 Maria A. Terres (デューク大学,米国) 、勝木 俊雄・岩本 宏二郎(多摩森林科学園)、小堀 洋美(東京都市大学)、樋口 広芳(東京大学)、Richard B. Primack (ボストン大学,米国)、Adam M. Wilso n (エール大学,米国)、Alan Gelfand (デューク大学,米国)、John A. Silander Jr (コネチカット大学,米国)

掲載誌

Global Change Biology 20, Issue 4, 1251-1263, April 2014, DOI:10.1111/gcb.12364(外部サイトへリンク)

内容紹介

毎年春が近づくとサクラの開花日が大きな話題となります。開花時期のような生物の季節に対する反応から、身近な生物への気候変動の影響を知ることができます。多摩森林科学園にある多くのサクラ品種の過去30年間の開花の観測データから、将来の気候変動によるサクラの開花時期の変化が予測できるようになりました。
開花に対する気候の影響は、サクラの分類群ごとに異なると考えられます。今回、早咲きのエドヒガンから遅咲きのサトザクラ類までの4つの分類群の観測データを用いて、開花時期を決める気象条件について解析を行いました。その結果、冬季の低温や春先の温度変化がサクラの開花時期を決めており、早咲きのものほど春先の温度変化の影響を受けやすい傾向がわかりました。また、今後予想される気候シナリオのもとで西暦2100年までのサクラ開花予想をしたところ、4つの分類群とも現在と比べて平均値で約一か月開花が早まると予想されました。
これまでのサクラの開花期に関する研究は、栽培品種のひとつである‘染井吉野’に関するものがほとんどでした。今回開発した予測モデルでは、いろいろなサクラの開花に対する気象要因の関わりを評価することができ、気候変動によるサクラ品種全体の開花への影響について、はじめて検討が可能となりました。

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