研究紹介 > 研究成果 > 研究最前線 2016年紹介分 > 森林の水蒸気・二酸化炭素フラックス測定において地形の影響を取りのぞく方法を検証
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2016年1月13日掲載
論文名 |
Effect of coordinate rotation systems on calculated fluxes over a forest in complex terrain: A comprehensive comparison. (複雑地形地の森林上での座標変換法の選択が物質交換量算出に及ぼす影響についての包括的な比較) |
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著者(所属) |
清水 貴範(水土保全研究領域) |
掲載誌 |
Boundary-Layer Meteorology, published online: April 2015, DOI:10.1007/s10546-015-0027-7(外部サイトへリンク) |
内容紹介 |
森林の水蒸気や二酸化炭素のフラックス(森林と大気の間での交換量)に関する観測研究は、我が国でも盛んに行われています。水蒸気や二酸化炭素のフラックスの測定では、観測タワーを用いて大気の乱れを計測する「渦相関法」が現在世界中で広汎に用いられています。この手法は平地を対象に発達した測定法であるため、山地の森林に適用する場合には、地形の影響をできるだけ取り除くための「座標変換」が必要です。これまで各種の座標変換法が提案されてきましたが、これらを包括的に比較した例はありませんでした。そこで本研究では、九州の山地にあるスギ・ヒノキ人工林を対象に、7種類の座標変換法を比較検証しました。その結果、これまで特に夜間のフラックスの計算において最適と目されてきた最新の座標変換法が実は日中のフラックスをやや過小評価する傾向がある一方、他の6種類の方法を用いた場合、日中のフラックスの計算値はかなりよく一致することが分かりました。 この成果は、これまでに各地の森林で行われてきたフラックスの観測結果の相互比較を可能とし、地域ごとの水蒸気や二酸化炭素の収支を把握する上で大いに役立つものと考えられます。 |
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