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残す木の配置が重要:林木の成長に対する周辺木の混み合い度の影響

2016年5月13日掲載

論文名

四国地方の高齢級スギ・ヒノキ人工林における個体間競争が植栽木の成長に及ぼす影響

著者(所属)

宮本 和樹・酒井 敦・大谷 達也(四国支所)、松岡 真如(高知大学)、山﨑 敏彦(高知県立森林技術センター)

掲載誌

日本森林学会誌 97巻4号、171-181、日本森林学会、2015年10月 DOI:10.4005/jjfs.97.171(外部サイトへリンク)

内容紹介

材価の低迷や林業の担い手不足などを背景に、高齢化が進む人工林をどのように管理していくかが課題となっています。高齢林(100年生前後)での収穫(主伐)を見込んで残すことにした林木の成長に、周辺の木がどのような影響を及ぼすのかを把握することは、間伐の際の選木の仕方や収穫まで残す木の適切な本数など、今後の人工林管理を考える上で重要です。

そこで、四国地方の44~91年生のスギ・ヒノキ人工林を対象として、林木の直径成長に対する周辺木の混み合い度の影響をしらべました。周辺木の混み合い度を表す指標として、対象木を中心とする半径2~12mの範囲にある周辺木の幹の断面積合計をもちいました。解析の結果、65~75年生のスギ・ヒノキ人工林では、対象木から7~10mの範囲にある周辺木の存在が、対象木の成長にマイナスの影響を及ぼしていることが示されました。このことから、主伐まで残す木同士の互いの干渉を最小限に抑えるには、残す木の間隔を7~10mとることが重要で、より多くの本数を確保するためにはなるべく均等に配置することが重要であることが明らかになりました。

今回の成果は、高齢化する人工林の管理では、間伐の際に残す林木の配置を考慮して選木することが重要であることをあらためて示したといえます。今後、スギ・ヒノキ人工林の多様で持続的な管理手法の確立に貢献することが期待されます。

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