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北海道でのカラマツコンテナ苗の夏植栽にはご用心

2016年9月20日掲載

論文名

異なる時期に植栽したカラマツコンテナ苗の生存率、成長および生理生態特性

著者(所属)

原山 尚徳(北海道支所)、来田 和人・今 博計・石塚 航(道総研林業試験場)、飛田 博順・宇都木 玄(植物生態研究領域)

掲載誌

日本森林学会誌、98巻4号、158-166、日本森林学会、2016年10月 DOI:10.4005/jjfs.98.158(外部サイトへリンク)

内容紹介

近年、低コスト育林手法の一つとしてコンテナ苗に注目が集まっています。根がむき出しの状態で植栽される従来の裸苗と違って、根が培土に覆われた状態で植栽されるコンテナ苗は、積雪期を除きいつでも植栽可能といわれていますが、北海道の主要造林樹種であるカラマツのコンテナ育苗は始まったばかりで、これまで十分に確かめられていませんでした。

そこで、1年生のカラマツコンテナ苗を北海道で積雪のない5月から10月まで毎月植栽し、植栽時の苗の生理特性を測定するとともに、2年間植栽後の生存状況を調べました。その結果、6月から8月に植栽されたコンテナ苗は、葉の耐乾性や根の吸水能力が低く、根量に対する葉量の比率が高いなど、苗全体の耐乾性が他の時期よりも低いことが明らかになりました。実際、植栽前後の降水量が非常に少なかった6、7月に植栽したコンテナ苗の多くは植栽後2ヶ月の間に枯れてしまいました。一方、植栽前後に十分な降水があった8月植栽苗や、苗の耐乾性が高かった5月、9月、10月植栽苗は80%以上の高い生存率を示しました。北海道では例年6月、7月の降水量が少ないため、夏にカラマツコンテナ苗を植栽する場合には、植栽日前後に雨が降るかどうか十分に注意する必要がありそうです。

今回の研究結果は、森林施業の計画をたてる際に役立つだけでなく、カラマツのコンテナ育苗方法を確立する上で重要な情報になります。

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